社会的連帯経済基本法レポート第4回 20省庁を一つの政策循環につなぐ

レポート
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国は「社会に必要な仕事」をどう支えようとしているのか(上)

二つの計画とその位置づけについて

この記事では、韓国政府が2026年6月30日に発表した20省庁共同の「社会連帯経済発展総合計画」を「総合計画」と呼ぶ。一方、社会連帯経済基本法に基づき、国が5年ごとに策定する「社会連帯経済発展基本計画」は「法定基本計画」と表記する。

「総合計画」は、基本法の成立に先立って政府が示した政策方針であり、基本法上の「法定基本計画」そのものではない。今後策定される法定基本計画の先行方針、あるいは出発点として位置づけられる。

もう一つ、あらかじめ確認しておきたいことがある。

2026年9月15日に公布された基本法によって、国と地方政府の計画、委員会、社会連帯金融、公共調達、支援センターなどの法的な骨格は定められた。しかし、法律ができたことと、それぞれのしくみが地域で実際に機能することは同じではない。法律の施行は2027年3月16日であり、具体的な対象や基準、予算、人員、運営方法の多くは、今後整備される大統領令や自治体の条例、毎年度の予算などによって決まる。

とりわけ地方では、首長や議会が何を優先し、どれだけの予算と人員を充てるかによって、実現する内容に差が生じる可能性がある。以下で見るのは、完成済みの制度ではない。国と自治体がこれから具体化し、その実行力を問われる制度の骨格である。

このしくみによって、地域の協同組合や社会的企業が、これまでよりどのような支援を受けやすくなるのかは、現段階ではまだ断定できない。基本法が変えたのは、各省庁と市・道に、計画、調整、実施、評価の責任を負わせたことである。それが、途切れない資金支援や販路、担い手の安定した雇用につながるかは、今後の大統領令、予算、地域計画と、その運用を見なければわからない。今回確認できるのは「支援をつなぐ経路が法的に用意された」ところまでであり、「支援を受けた現場が実際にどう変わったか」は、これからの動きによる。

支援策があっても、ばらばらでは仕事を支えられない

第3回では、社会連帯経済を担うのが、社会的企業、協同組合、マウル企業、自活企業など、異なる制度のもとで活動してきた組織であることを見た。こうした組織は、ケア、住まい、食、エネルギー、地域交通など、くらしに必要でありながら、採算だけでは続けにくい仕事を担っている。

ところが、これまでは支援制度も組織の種類ごとに分かれていた。社会的企業は雇用労働部、協同組合は企画予算処、マウル企業は行政安全部、自活企業は保健福祉部というように、認定、補助、融資、販路支援を担当する省庁が異なる。地域の側から見れば、一つの課題を解決するために複数の制度を組み合わせる必要があるのに、行政の側は別々の目的、予算、期間、評価指標で動いてきたのである。

問題は、窓口が多いことだけではない。ある省庁が設立や起業を支援しても、その後の継続的な仕事や、公共サービスの委託、公共調達、利用者負担を補う制度などにつながらなければ、事業は続きにくい。必要とする人がいても、その需要がそのまま事業収入になるとは限らないからである。

行政に求められるのは、個々の組織を一時的に補助することだけではない。採算だけでは事業になりにくい社会的需要を、地域の仕事と資金の循環の中に位置づけることである。

また、単年度の補助事業で成果が出ても、次年度の予算や地域の計画に引き継がれなければ、経験も人材も失われる。「社会に必要な仕事」を持続可能な経済活動にするには、個々の支援策より先に、それらをつなぐしくみが必要になる。

20省庁を「計画・実施・評価」でつなぐ

2026年6月の総合計画には、20の関係省庁が参加した。政府は、金融、販路、税制、人材育成、地域づくり、ケア、住まい、エネルギー、農山漁村などにまたがる15の重点課題を掲げている。ただし、20省庁の名前が並んだだけでは、縦割りが解消されたことにはならない。

基本法がつくろうとしているのは、各省庁の事業を一度だけ束ねる会議ではなく、計画、実施、評価、見直しを繰り返す政策循環である。

国は5年ごとに法定基本計画をつくり、中長期の目標、主要課題、財源、社会連帯金融などの方向を定める。それを受けて関係省庁は毎年、部門別の施行計画をつくる。施策の実績は評価され、その結果が次年度の事業や次の基本計画に戻される。基本計画と単年度予算の間を、毎年の施行計画と評価でつなごうという構造である。

図1 20省庁を一つの政策循環につなぐしくみ
    A["社会連帯経済発展総合計画:2026年6月の先行方針"] -.-> B["国の法定基本計画:5年"]
    B --> C["各省庁の部門別施行計画:毎年"]
    B --> D["市・道の基本計画と施行計画"]
    C --> E["予算・事業・調達・金融"]
    D --> E
    E --> F["実績・統計・評価"]
    F --> B
    G["大統領所属の発展委員会:審議・調整"] --- B
    G --- F
**出典:**韓国「社会連帯経済基本法」(法律第21921号)および関係省庁共同「社会連帯経済発展総合計画」(2026年6月30日)をもとにuco作成。

ここで重要なのは、計画を立てること自体ではない。どの省庁が、どの予算で、何を実施し、その結果を何によって評価するのかが一続きになるかどうかである。

委員会は「調整する場所」になれるか

この政策循環の中心に置かれるのが、大統領所属の社会連帯経済発展委員会である。委員会は40人以内で構成され、民間委員が過半数を占める。法定基本計画や主要政策を審議し、省庁間の政策を調整する役割を担う。市・道にも地域委員会が置かれ、市・郡・区には地域委員会を置くことができる。

これは、行政だけが支援内容を決めるのではなく、現場の組織や専門家が政策形成に参加する余地を制度化したものと読める。ただし、民間委員が多いだけで現場の声が反映されるとは限らない。誰が委員を推薦するのか、会議資料や議事録が公開されるのか、委員会の意見が予算や各省庁の事業にどこまで影響するのか。委員会が実際にどこまで機能するかは、今後の運営規程と行政の対応によって決まる。

委員会が各省庁の報告を受け取るだけなら、政策は再び縦割りに戻る。逆に、重複する事業を整理し、支援から漏れる分野を見つけ、評価結果を次の予算に結びつけられるなら、初めて「20省庁共同」の意味が生まれる。

地域の計画は、国の計画の写しではない

基本法は、市・道にも5年ごとの基本計画と毎年の施行計画を求めている。ここでいう市・道とは、人口規模を示す呼び方ではない。特別市、統合特別市、広域市、特別自治市、道、特別自治道など、国の下に置かれる韓国の第一層地方政府を指す。日本の都道府県に近い位置づけだが、大都市を含む点に特徴がある。

地域計画が必要なのは、同じ制度を全国一律に配るためではない。都市のケア不足、農山漁村の移動や買い物の困難、空き家、地域エネルギーなど、必要な仕事は地域ごとに異なるからである。地域にどのような需要があり、すでにどのような組織と人材が活動しているのかを調べ、それを公共サービス、調達、金融、人材育成に結びつけることが市・道の役割になる。

しかし、計画策定が義務になっても、実施能力まで自動的に備わるわけではない。担当部署を置くのか、複数部局を調整できる職員を配置するのか、基礎自治体や民間組織の意見をどう集めるのか、安定した予算を確保するのかによって、地域差は大きくなりうる。国の基本計画を言い換えただけの地域計画になるのか、それとも地域の課題と資源を起点にした計画になるのか。ここが自治体の判断と力量を問われるところである。

何を評価するのかが、制度の方向を決める

政策循環が機能するかどうかは、最後に何を「成果」として数えるかに左右される。設立された組織の数、売上高、融資額、雇用者数だけなら、従来の産業振興策と大きく変わらない。ケアを受けられる人が増えたのか、地域の仕事が安定したのか、公共サービスへのアクセスが改善したのか、事業で生まれた価値が地域のくらしにどれだけ残ったのか。こうした社会的価値を、予算と行政評価の中で扱えるかが問われる。

総合計画は、統合的な統計・情報基盤を整備し、地方政府の評価にも社会連帯経済に関する指標を設ける方針を示した。これも、まだ実施された成果ではなく政府の方針である。どの指標を選び、誰が測り、数値に表れにくい変化をどう扱うかは、これから決めなければならない。

基本法がつくったのは、国と自治体に「計画し、実施し、評価し、説明する」責任を持たせる枠組みである。法律の成立は到達点ではない。この循環に予算と人員が入り、現場の経験が次の政策に戻るかを、市民が確かめるための出発点なのである。

次回は、この政策循環の中で、必要な仕事を実際に続けるための金融、信用保証、支援センターがどのように構想されているのかを見る。金額の拡大だけでなく、誰が利用でき、誰が運営し、地域差と雇用の不安定さをどう抑えるのかまで確かめたい。


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