7月1日午後3時、大阪府公害審査会でダイキンPFAS公害調停の第1回期日が開かれる。
昨年12月、大阪府摂津市などの住民らが申し立てたこの公害調停は、PFASによる環境汚染をめぐる全国でも例の少ない取り組みである。これまで本シリーズでは、全国へ広がるPFAS汚染の実態、地域環境への影響、そして血液検査を求める住民の声を紹介してきた。では、住民たちはなぜ公害調停という手続きを選んだのだろうか。
その背景には、長年暮らしてきた地域で何が起きたのかを知りたいという切実な願いがある。
住民が明らかにしたいこと
住民が公害調停で求めているのは、補償だけではない。その背景には、少なくとも次のような思いがある。
- なぜ高濃度のPFOA汚染が起きたのか。
- 自分や家族はどの程度曝露してきたのか。健康への影響はあるのか。
- 地域の環境は現在どのような状態にあり、汚染はどこまで広がっているのか。
- もし地域環境が汚染されているのであれば、その実態を誰が調査し、誰が責任を持って汚染の除去や環境の回復に取り組むのか。
こうした住民の思いを受け、住民側は情報公開や環境調査、健康調査、汚染対策、被害補償の枠組みづくりなどを求めている。
ダイキン工業はどのような考えを示しているのか
住民側が環境調査や健康調査、情報公開などを求める一方、ダイキン工業は今年3月、公害調停に対する最初の意見書を提出した。
その中でダイキン工業は、淀川製作所で過去にPFOAを製造・使用し、排出していた事実を認めている。さらに、2000年代以降は環境中への排出削減に取り組み、地下水の揚水・浄化設備や遮水壁の設置など、現在まで200億円以上を投じて対策を進めてきたとしている。
一方で、PFOAによる健康影響については、国際的に評価が定まっておらず、当時は法令による規制も存在していなかったことから、法的責任はないとの考えを示している。
また、今回の問題は過去の公害病訴訟で問題となったような公害とは異なるとの認識も示している。
公害調停とは
公害調停は、大気汚染や水質汚染、騒音などによって生活環境や健康への影響が生じた、あるいはそのおそれがある場合に利用される紛争解決制度。裁判ではなく話し合いによる解決を目指す制度である。
各都道府県の公害審査会(または国の公害等調整委員会)が手続きを進め、中立の立場にある調停委員会が双方の意見を聞きながら解決案を探る。
調停委員会は通常、法律や環境、公害問題などの専門的な知識を持つ委員で構成され、当事者双方から事情や資料の提出を受け、必要に応じて追加資料や説明を求めながら審理を進める。
裁判のように勝敗を決める制度ではなく、当事者双方が合意できる解決を目指すことが特徴である。
今回の調停では、住民側は
情報公開
環境調査・健康調査の実施
汚染対策
被害補償の枠組みづくり
などを求めている。
だから公害調停が始まる

住民側は、地域で何が起きたのかを明らかにし、環境調査や健康調査、情報公開などを求めている。
一方、ダイキン工業は、PFOAの排出や対策については認める一方で、法的責任については異なる考えを示している。
こうした双方の隔たりを踏まえ、話し合いによる解決を目指すのが公害調停である。
7月1日に始まる第1回期日では、今後どのような進め方で調停を行うのか、また双方の主張や争点がどのように整理されるのかが注目される。
このように、住民側とダイキン工業との間には、事実認識や責任の捉え方に隔たりがある。公害調停では、こうした論点を整理しながら、解決の可能性を探ることになる。
これまで本シリーズでは、全国で広がるPFAS汚染、地域環境への影響、健康への不安について見てきた。
7月1日から始まる公害調停では、こうした問題について住民と企業がどのような主張を示し、どのような議論が行われるのかが注目される。
次回は、第1回公害調停の内容を現地から報告したい。
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