全国で広がるPFAS汚染と健康問題

レポート
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ダイキンPFAS公害調停をすすめる会総会から見えたもの

6月7日、摂津市で「ダイキンPFAS公害調停をすすめる会」の報告・学習集会と総会が開かれた。
この日の話題は大阪だけでなく、東京、沖縄、石川、静岡、熊本など全国各地で広がるPFAS(有機フッ素化合物)による健康問題について報告が行われた。
その中で、公害調停をすすめる会の長瀬文雄事務局長はこう語った。
「日本全国でPFAS汚染問題に直面する地域が後を絶ちません」
PFAS問題は、一つの地域だけで起きているわけではなく、いまも全国で広がり続けていることを強く訴えた。
ダイキンPFAS公害調停をすすめる会総会 会場
ダイキンPFAS公害調停をすすめる会総会 会場にて(筆者撮影)

PFASとは何か

PFAS(有機フッ素化合物)は、油や水をはじく性質を持つ化学物質群の総称である。その中にはPFOSやPFOAといった物質も含まれる。熱や薬品に強く、これまでフッ素加工された調理器具や泡消火剤、防水加工製品、半導体製造工程など幅広い用途で使われてきた。カーペットや繊維製品の防汚加工などにも利用されてきたとされる。
私たちの暮らしの中に広く入り込んできた化学物質だが、一方で自然界で分解されにくく、環境や人体に長く残留することが問題視されている。国際がん研究機関(IARC)はPFOAについて発がん性があると評価している。また、海外では子どもの発達や免疫機能への影響なども指摘されており、各国で規制や基準値の見直しが進められている。

近年では、各地の河川や地下水、水道水から検出される事例が相次ぎ、健康への影響を懸念する声が広がっている。
では、実際にどのような地域で問題が起きているのだろうか。
その象徴的な事例のひとつが、岡山県吉備中央町である。岡山県吉備中央町で何が起きたのか。

吉備中央町で何が起きたのか

全国的にPFAS問題が知られるきっかけとなった地域の一つが、岡山県吉備中央町だ。
2023年、この町の水道水から高濃度のPFASが検出された。
住民の間では健康への影響を不安視する声が広がり、血液検査の実施をはじめ、発生の原因や汚染の実態解明などを求めた。しかし実態解明は容易には進まなかった。住民の要望や議会での議論が続き、国や自治体の対応をめぐる混乱も続いた。そのなかで実現したのが、2024年11月から12月にかけて行われた公費による住民血液検査だった。
PFAS問題をめぐり、公費による大規模な血液検査が行われた事例として全国的な注目を集めた。だがその実現までには約2年間も要した。

住民たちが求めていたのは、誰かを責めることではない。自分たちはどの程度PFASに曝露してきたのか。健康への影響はあるのか。まずはその実態を知りたいという切実な願いだ。一方で、なぜ高濃度の汚染が起きたのかという問題は残されたままだ。報道などでは、水源近くに廃棄された使用済み活性炭が汚染源とみられているが、その活性炭がどこから持ち込まれたのか、もともと誰がどのような目的で使用していたものだったのかなど、なお解明されていない点も残されている。

発生源は何か。
なぜ問題は起きたのか。
そして健康への影響はあるのか。
吉備中央町で投げかけられた住民の声は、いま全国各地で住民たちが向き合っている問題そのものでもある。

全国で広がるPFAS問題

PFAS問題は全国で広がっている
PFAS問題は、一つの地域だけで起きているわけではない。
6月7日の総会でも、沖縄、東京、石川、静岡、熊本など各地の状況が共有された。
沖縄では、米軍基地で使用された泡消火剤によるものとみられるPFAS汚染が長年問題となってきた。地下水や河川、水道水からPFASが検出され、住民団体は実態調査や健康調査を求めている。また、本土でも横田基地周辺の多摩地域や、横須賀、座間など基地周辺で同様の問題が指摘されている。
東京・多摩地域では、791人を対象とした血液検査の結果、検査対象者の46%が米国アカデミー・オブ・サイエンスなどが示す指標値を上回ったと報告されている。自治体によっては9割近くがこの水準を超えた地域もあり、住民が長期間どの程度曝露してきたのかを検証する必要性が指摘されている。石川県白山市では住民の血液検査が始まった。熊本では半導体工場周辺でPFASが検出され、地下水への影響が懸念されている。

汚染源や状況はそれぞれ異なっている。
基地、化学工場、半導体工場、水道、地下水――。
しかし住民たちが向き合う問いには共通するものがある。
健康への影響はあるのか。
なぜ調査が進まないのか。
誰が責任を持って実態を把握するのか。
こうした問題意識のもと、全国各地の住民団体は連携を始めている。

なぜ全国連絡会が結成されたのか

こうした問題意識のもと、5月21日、全国でPFAS問題に取り組む53団体が参加し、「PFAS全国連絡会」が結成された。北海道から沖縄まで、少なくとも20都道府県にまたがる住民団体が結集した。
地域ごとに状況は異なる。しかし、調査や情報公開、健康調査の必要性、そして予防原則にもとづく対応を求める声は共通している。
長瀬氏が語ったように、
「日本全国でPFAS汚染問題に直面する地域が後を絶たない」
からだ。
発生源は何か。なぜ問題は放置されているのか。人々は何を求めているのか。全国各地の状況は異なっていても、住民たちが向き合う問いは共通している。

「安心して生活を営んでいきたい」

総会では、健康への不安を訴える声も聞かれた。申請人の一人の女性は「水道水もちろんのこと、窓を開けてても不安なんです。土ぼこりが部屋に入ってきて、汚染されたものではないかと思ってしまう。」「とにかく私の中では体に入れたくない。」と語った。
そして最後にこう訴えた「大阪市内に住んでいたときのように、安心して生活を営んでいきたい。そのために環境を整えてほしい」。

この発言は、PFAS問題の本質を表しているように思えた。数値や基準値だけの問題ではない。自分や家族の健康への不安を抱えながら暮らすこと。空気や水にまで不安を感じながら生活しなければならないこと。そうした状況そのものが、住民たちの苦しみとなっている。

人々は何を求めているのか

PFAS問題は、一つの地域だけで起きているわけではない。しかし住民たちが向き合う問いには共通するものがある。
何が汚染源なのか。
なぜ実態解明が進まないのか。
健康への影響はあるのか。
そして誰が責任を持って調査を行うのか。

長瀬事務局長は結成集会で、「水や食の問題は、国民一人一人の健康、命に関わる課題です」と述べた。
住民たちが求めているのは、まず実態を知ることだ。
そして、その結果に基づいて必要な対策を講じることである。

7月1日、第1回公害調停へ

摂津市にあるダイキン工業が50年以上にわたってPFASの製造を行ってきた。そして同社の敷地周辺の土壌や河川から高濃度のPFASが検出され、周辺住民が高濃度のPFASに暴露されていることがわかった。
昨年末、周辺住民をはじめ、水道水の水源となってきた大阪市の住民も申請人となって、大阪府に対してダイキンPFAS公害調停が提起された。

大阪府公害審査会では、ダイキンPFAS公害調停の第1回期日が7月1日に予定されている。
また、公害調停をすすめる会では、第3次申請人の募集も行っている。締切は8月31日。
PFAS汚染問題は、まだまだ始まったばかりであり、いまも全国各地で、新たな汚染や健康不安が報告されている。
次回は、ダイキン工業とPFAS汚染の経緯、そして住民たちがなぜ公害調停という手段を選んだのかを見ていきたい。

7月1日ダイキンPFAS公害調停第1回期日

大手空調メーカー「ダイキン工業淀川製作所」(大阪府摂津市)周辺で発がん性が指摘されるPFOA(上述の通りPFASの一種)が検出された。土壌や水質汚染が強く疑われることから、地元住民らが昨年12月に大阪府公害審査会に公害調停を申請した。健康調査や汚染除去対策などを求めるもので、来月7月1日が第1回期日となっている。
7日に行われた総会では、この問題に大勢の住民が関心を持っていることを示すため、審査会に申請人をはじめ、この問題に関心のある市民の参加も求めていた。
●日時 2026年7月1日 午後3時00分開始
●会場 大阪府咲州庁舎(ワールドトレードセンター内 大阪南港ポートライナー・コスモスクエア駅下車)
くわしくは、ダイキンPFAS公害調停をすすめる会にご確認ください。
06-6268-3970(代)

第3次申請人募集

ダイキンPFAS公害調停をすすめる会では、第3次申請人の募集を行っている。
「申請人になっていただける方」として、
摂津市およびその近隣の市町村にお住いの方または摂津市に通学、通勤その他一定の頻度でダイキン工業淀川製作所及びその周辺に出入りされている方または過去にそのような事実があった方で、淀川製作所からの汚染を何らかの形で受け、受けたおそれがあり、または今後受けるおそれがあると考える方(年齢、性別、国籍は問いません1)。
とされている。
くわしくは、すすめる会「ダイキンPFAS公害調停に参加される皆様へ」でご確認ください。
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