【追加レポート2】こうして「世論」は作られるのか

レポート
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社会課題の解決を自由な発想で考え、勉強会やシンポジウムでの質疑など、個人にできることを実践する市民さんより、「【都構想タウンミーティング巡り】で見えた民主主義の危機」をれぽーとしていただきました。そして今回は、その後に公開された質疑応答集やアンケート結果を見て、感じた違和感について記録しシリーズのまとめとしました。

前回は追加レポートとして、9会場を巡った中で感じた「市民との対話とは何だったのか」という疑問について紹介した。今回は、タウンミーティング後に公開された質疑応答集やアンケート結果を見て、私自身が感じた違和感について記録したい。

市民との対話は、本当に記録されていたのか

都構想タウンミーティング(TM)の会場でも、住民投票の府域拡大に対して、市民から強い懸念の声が上がっていた。
竹下幹事長も法定協議会については慎重に考えている、「風」に見えた。なのに、早々に法定協議会の設置が決められてしまった。
「大阪都構想」法定協の設置を決定、吉村洋文知事「副首都にふさわしい都構想」目指す…公明・自民の府議団は委員候補の提示を保留:地域ニュース : 読売新聞

都構想TMは市民の意見を聞く場ではなかったの?

■ 住民投票の拡大(府域全体)への懸念

意見)よく東京と比較されるが、東京は都市部が多数派(7割)、大阪は都市部は少数派(3割)。当事者の大阪市民を少数派に追いやることになる。もし市内の話を市外の多数で決められることになるのなら賛成できない。(生野区)
質疑)市民のことを第一に考えるのが市会議員。府民にまで住民投票を広げることをどう思うか。(住吉区)
市議)私は大阪の人全てが良くなればいいと思う。

この、市民による本質的な指摘と、市議の曖昧なやり取りが、【大阪維新の会 大阪市議団活動報告(26.05.19) タウンミーティング質疑応答Q&A一覧】では以下のように集約されていた。

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ところが、後日公開された質疑応答集を見ると、こうしたやり取りは非常に簡潔な形で整理されていた。もちろん要約は必要だと思う。

しかし、実際に会場で聞いていた者としては、市民が投げかけていた問題意識の重さや切実さが、うまく伝わっていないように感じた。

私が質問した「中東情勢と工事費高騰リスク」

私はタウンミーティングで二度質問する機会を得た。

一つ目は、中東情勢の悪化に伴うエネルギー価格高騰と開発工事費の増額リスクについてだった。当時から私は、「世界情勢がここまで不安定化しているのに、巨大開発の前提条件は本当に変わらないのだろうか」という疑問を持っていた。

私の質疑)
中東戦争によるエネルギー価格高騰で更なる物価高は避けられません。あちこちで開発中の工事費がどれだけ膨らむのか、全く予想がつきません。世界情勢がこれほど激変しているのに、同じ未来予想図を語り続ける吉村知事は、危機管理意識が低いのではないかと不信感を感じています。
そこで質問です。
エネルギー価格が高騰しても、現在進めている全ての開発工事が、予定通りに、市民に負担をかけずに進むとお考えでしょうか?
回答)
中東情勢の影響は、都構想のあるなしに関係なく起こる。だからこそ、強い大阪を作るために都構想を進めたい。

別の会場でも同様の質疑があった。

質疑)石油危機で日本が回らなくなったら、都構想の話などできない。そうなった時でも法定協議会ができると思いますか?(生野区)
市議)エネルギー問題の対策は国の政策なので、法定協議会は関係なく進められるものと思っている。
国会議員)エネルギー代替えルートの確保は進んでいる。

そもそも回答が一方通行でかつ的を得ていない。その上まとめられたものは

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こんなに簡単にまとめられたら、私の感じている危機感が全く伝わらない。
私が聞きたかったのは、一般的な物価高の話ではない。
現在進行している巨大開発そのものが、想定通り進むのかというリスクについて聞いていたのである。

「危機感が伝わらない」と感じた出来事

実は私が「絶対に質問するまでタウンミーティング巡りを続けよう」と思ったのには理由がある。4月22日の住吉区タウンミーティング終了後、私は府議会議員に直接質問した。

「中東情勢による原油高で、開発中の工事費がさらに膨らむリスクをどう考えているのか」

という内容だった。すると、

「ああ、中東情勢ね。物価高対策予算を取っているから大丈夫」

というズレた返答だった。
私が聞いていたのは一般的な物価高ではなく、現在進行中の巨大開発における工事費の増額リスクである。

全く話がかみ合っていないと感じた。さらに、

「あなたは反対派かもしれないけれど、私は選挙で選ばれた。都構想に賛成している多くの人の声に応えて円滑に進めたいと思っています」

と言われ、そのまま次の人へ進んでしまい、追加の問いかけは一切できなかった。
そこに私が感じたのは、対話というよりも説明だった。
だからこそ、自分自身で質問し、記録を残そうと思ったのである。

「載らなかった声」

その後、別の市議に対して、以下のような質疑を行った。

私の質疑
私は吉村知事の強引なやり方に強い不信感を感じています。
反対意見は聞かない姿勢。決まってもいないことをマスコミに喋って、市民を勘違いさせたり、議会を通さずに決めようとしたり、大阪が独裁政治になるのなら、維新を応援することはできません。税金を払っている身としては、正しい民主主義のプロセスを踏んでほしい。意味のないことに税金を使ってほしくありません。
質問です。
市議団の方達は、現役世代の気持ちが離れていることをどう感じていますか?
独裁体制の中で、何も決まっていない法定協議会の設置を認めてほしいと言われても、やめて下さいとしか言いようがありません。」
回答)
「現役世代のサービス拡充は続けている。議会を通さないことはない。キチンと手続きを踏むので安心して下さい。意見として承ります。」

その市議は丁寧にメモを取りながら話を聞いてくれた。
私は「これなら伝わったかもしれない」と感じていた。
ところが後日公開された質疑応答集には、その内容はどこにも見当たらなかった。

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もちろん全てを掲載することはできない。

「議会を通すから独裁ではない」という言説。

形式上の手続きを踏んでいたとしても、チェック機能を果たすべき議会が「イエスマン」ばかりであれば、あらゆる案が議論もなしにスルスルと通ってしまう。
法定協議会の設置が早々に決まったことからもわかるように、私が危惧していた独裁化は既に進行中だ。

この都構想タウンミーティング質疑応答とアンケート結果は以下の文章で総括されている。

【固定的な反対だけでなく、「説明次第で理解が進む可能性のある層」が一定規模で存在する。今後は「制度の中身をどう具体的に説明するか」が鍵となる。】
維新市議団発表の「質疑応答Q&A」とアンケート集計結果を合わせて読めば、結論も不自然には見えない。

しかしこの発表の「質疑応答Q&A」、「強く反対の意見」を「丁寧に説明した」という回答に置き換えている。
虚偽ではないかもしれないが、でもどこに焦点を合わせるかで、印象は大きく変わる。

9会場を巡り、実際のやり取りを見聞きしてきた私としては、今回の都構想タウンミーティングが「元々反対派の複数回出席者が反対意見を何度も述べ、アンケート結果を歪めた」という幹事長の見解には、全く理解も納得できない。

その場での私の感覚とは違いすぎる。

アンケート集計結果と最終回後の幹事長発言で都構想タウンミーティングは「反対派が多数押しかけて文句を言っていた会」と世間にイメージづける材料に使われていたということだけが事実として残った。

9会場を回って感じた情報コントロールの実態

この「都構想タウンミーティング質疑応答とアンケート結果」には、会場に溢れていた「民主主義のプロセスに対する不満」も「議会のチェック機能への危機感」にも、全く触れられていない。

「都構想に関するタウンミーティング」との名称で市民を誘い、会場の席についてから、「都構想の中身を説明する会ではありません。都構想の設計図を書いて良いか、を聞く会です」と告げられる。

過去2回の都構想TMとの違いなどわからない市民の「中身を問う質問」も「中身が決まっていないのに賛成も反対もできない」との怒りの声も
「みなさん、中身を知りたがっている」と都合よく賛成票にカウントされた。

権力側が恣意的に市民の声を隠し、都合良く変換して、世論を誘導していく情報コントロールの手法を、私は都構想タウンミーティングを通して体験したのだ。

まとめに代えて

私たちが無関心でいれば、権力側の都合の良いように世論はいくらでも誘導されてしまう。
なぜ、市民との対話の場がフルオープンでないのか。マスコミも含め、なぜ、だれも疑問に思わないのか。市民の無関心こそが問題なのかもしれない。

今回、私が自分の足と目と耳を使って記録を残し続けたのは、この歪んだ状況に対する、ひとりの市民としてのささやかな抵抗だった。
一地域の都構想タウンミーティングという規模だからこそ、個人で巡り、記録し、こうして検証し、情報コントロールの実態を知ることができた。

しかし、このローカルな現場での歪みの実態は、決して一地方の問題にとどまらない。
この先控えている改憲の国民投票など、国全体の未来を決める局面においても、全く同じ手法で情報コントロールが行われる可能性が高い。

権力側に都合の良いデータだけが抽出され、「都合の良い世論が偽造される」かも知れない。

私がこのリポートを通じて伝えたかったこと。私たちが無関心でいることの危うさと、その無関心が権力側に利用されている事実を、広く知ってもらいたかった。

そしてこの記録は、市民の代弁者であるはずの市会議員たちの「裏切り」も明らかにした。

市民の声を歪め、権力側に都合の良い結論に書き換えた。市民の声より、党利党略を優先した。

今の大阪は、民主主義がまともに機能していない。

私たちは、差し出された結果を鵜呑みにすることはできない。

市民が疑い、考え、自分事として関わっていく。権力側が恣意的にコントロールできないような仕組みを、今、作らなければならない。

政治の場での情報の透明化を、私たちは厳しく求め続ける必要があると思う。

今回、私が9会場を巡り、自分の目と耳で確かめながら記録を残したのは、その材料の一つになればと思ったからである。

この記録が、皆さん自身で考えるきっかけになれば幸いである。

全4回+追加レポート2回を読んでいただきありがとうございました。

<編:山口 達也>

【都構想TM巡りその後:TMアンケート結果検証②】こうして世論は作られる
市民/Civic Steering Osaka
2026年6月6日
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