大地震の注意報が発表されることは多くなる?
12月9日午前2時00分に、北海道・三陸沖後発地震注意情報が発表された。前日の23時15分頃に発生した青森県東方沖の地震を受けてのことで、約20ページからなる報道発表資料が内閣府の「防災情報のページ」に掲載されている。
内閣府「防災情報のページ」
北海道・三陸沖後発地震注意情報というものをこれまで聞いたことが無く、あまり息していなかったが、千島海溝と日本海溝沿いで大地震が発生することが予測されているという。
報道などでも発表されていたが、「北海道・三陸沖後発地震注意情報の発表に伴いとるべき防災対応」という資料も入っていた。「後発地震注意情報発表に伴う特別な注意」や「後発地震注意情報の発表により防災対応をとるべき地域」、「防災対応(住民)」、「防災対応(住民)~日頃からの地震の備え」といったタイトルのシートが組まれている。
昨年は、日向沖で地震が発生したことを受け、「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたが、これを受けてどう対応すればいいのかわからなかったり、混乱した方も多かったのではないだろうか。自治体や観光業などの対応も様ざまだったと記憶している。
というわけで、今後こうした大地震の注意情報は発信されることが増えるかもしれないし、少なくとも自信を守るための対策について、改めて考えてみたいと思い、「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたときの防災対策について調べてみた。
読み切れないほどある「南海トラフ地震臨時情報」
南海トラフ地震臨時情報に関しては、気象庁のサイトに「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたときの防災対応、というページがある。
気象庁 「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたときの防災対応
といった項目が掲載されている。知りたかった情報は網羅されているようだ。
また、今回「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した内閣府の「防災情報のページ」にも、「南海トラフ地震防災対策」というページがある。
内閣府「南海トラフ地震防災対策」
など、こちらは行政に向けた内容が多く、リーフレット、マンガ、動画等を見る方が理解しやすいかもしれない。
どちらのサイトも掲載されている資料の数は多く、ページ数も半端じゃない。
その名が、いくつか気になる情報があったので、備忘録としてレポートしておくことにした。
情報発表時の防災対応の例
気象庁のページに「情報発表時の防災対応の例」という項目がある。発表内容として、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」、「南海トラフ地震臨時情報(調査終了)」の4種があるという。
まず、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」が発表されると、
個々の状況に応じて避難等の防災対応を準備・開始し、今後の情報に注意せよ、とある。
発表後、最短2時間後に観測された異常な現象の調査結果が発表される。政府や自治体などから「警戒」、「注意」、「調査終了」いずれなのか状況に応じた防災対応が呼び掛けられる。
以下その後の発表別に下記のように記されている。ある程度の予測に基づいての行動をとれ、ということはわかる。自分の住む、あるいはその場に居合わせた自治体がどのように判断するかも変わってくるかもしれない。
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」が発表された場合
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された場合
「南海トラフ地震臨時情報(調査終了)」が発表された場合

地震災害が起こったら、まちはどうなると予測されているか
最も不明で不安なのが、災害時のまちがどうなるのかの予測ではないだろうか。政府や地震対策の専門家はどのような予測をしているか。
内閣府のページにある「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン(令和7年8月改訂)」という資料の中に「半割れケース」で想定される社会の状況を解説した箇所があり、「被災地域の社会の状況」と「被災地域以外の社会の状況」という内容が地震発生から約2日後まで時系列で記載されているものがある。

内容は図版で示している通りだが、
一事例ではあるが、人的・物的被害、交通インフラ状況、ライフライン、メディア報道、政府の動きなどについての想定が示されている。注目したいのが約30分後から2日後までの想定。特に交通インフラとライフライン。
交通インフラでは、地震発生直後から3日後いうも復旧の目途がつかないような記載となっている。阪神淡路大震災の状況が自治体をまたいで発生すると考えるしかない。
● 鉄道運航の停止、空港離発着の停止
● 国道、県道、市町村道の多くが亀裂、沈下、沿道建物倒壊により不通
● 津波警報等による鉄道運航停止、空港離発着の停止、港湾内機能停止
ライフラインについては
広範囲にわたり電力、通信、水道、ガスが停止
約2日後以降で応急復旧で徐々に解消とある。が、交通インフラが停止したままでは、それほど早く復旧する見込みはないのではないか。そう考えておくとすれば、やはり1週間程度の自力対応は必要と思われる。
次に、「南海トラフ地震が発生したとき、大都市の中心市街地の様相」という資料がある。これは、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループが令和7年3月31日に公表した「最大クラス地震における被害様相の横断的整理」に記載されている。
ここでは、「地域をとりまく様相」、「建物等被害」、「ライフライン被害」、「交通インフラ被害」、「避難生活・医療リソース不足」の5つの項目について、発災から72時間、1週間後、1か月後、1か月以降の4つの段階の想定が記載されている。特に発災から72時間後までの初動段階での状況を見ておきたい。
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ
地域をとりまく様相
建物等被害
ライフライン被害
交通インフラ被害
避難生活・医療リソース不足

発生する時間帯にもよるが、大阪市のように昼間人口が多い都市では、朝のラッシュ時や昼日中に発生した場合、通勤客、旅行者などの帰宅困難者で中心部は混乱するのはもちろん、周辺の主要ターミナルを中心とする市街地でも、同様と思っておく方がいいだろう。また大規模な通信障害が発生しないとも限らない。携帯電話やネットが使えなくなった場合、混乱に拍車がかかることは間違いない。
地域の様相で記載されているように、「道路交通の混乱や受入先不足につながる。」ことを考えると、やはり行政と地域でこのことの対応についてもっと話し合い、対策シミュレーションを行わなければならないのではないか。特に地震に伴う火災発生は被災者を増やし、災害対応を困難にする。
避難所開設にしても、被災者や負傷者の対応などは、ほぼほぼ地域コミュニティに依存する状況になっている。図版にある応急段階でも、ライフラインや交通インフラの支障が長期化することを予測している。そうした状況を前提としたシミュレーションを実施し、備蓄の内容やあり方をもう一度考え直す必要があるように思う。
次回以降、政府が想定している個人や家庭での防災対策についてレポートする予定。
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