電力の小売=赤字回避と需要確保
こなんウルトラパワーは、2016年10月から供給を始めるが、1年目から黒字を確保しながらスタートしたという。地域で発電した電気を地域で使っていくという湖南市の施策を実現するためにも、需要を確保していかなければならない。一方で市民共同発電所をはじめとする地域の発電能力を見極め供給量も確保する必要がある。湖南市とこなんウルトラパワーは次のようなスキームで事業をスタートしている。
こなんウルトラパワー株式会社の事業スキーム(こなんウルトラパワーの取組実績より)
「湖南市さんとしては需要というか電気を買うという役割を担っていただいて、私たちは電気を調達して販売をする、というような役割ですね。公共施設の数はそれなりにありますので、ある程度収入も得ることができて着手することができましたので、1年目から黒字を確保しながら取り組むことができた。
また、せっかくこうやって立ち上げたので、売り買いするだけじゃなくて、湖南市さんの施策に対応できるような会社にしていこうということで、湖南市さんの施策である自然エネルギーを地域で使っていく。そこで自然エネルギーを生み出すところからそれを使ってもらうところまでの流れをきちっとそれぞれやっていこうと。再エネの事業と省エネの事業、また蓄電池を含めたエネルギーマネジメントの事業を進めていこうとしています。」
太陽光発電を行っている市民学習交流センター(サンヒルズ甲西)(こなんウルトラパワーの取組実績より)
現在は、民間企業への供給も徐々に拡大しているが、一般家庭への供給となるとまだ実験の域を出ていない状況のようだ。芦刈義孝氏は、自社のメリットや湖南市での事業について、次のような視点で進めているという。
「電気代が一時上がったところに対して、若干安くできるというところあるので、そういったところで選んでもらうっていうのが1つあります。あと地域の会社ということと、地域で再生可能エネルギーを増やしているということで、選んでいただけるところも多少あるのかなと思います。」
「一般家庭も含めて普及させるといった場合の認知度や金銭面でのメリット、また信頼性も含めて、なかなか拡大するには今のところまだ難しいです。また小売だけ拡大しても、供給に見合った電気の調達ということになると、市場から買っていかないといけないことになってしまいます。そうではなくて自前の電気を増やしていく、地域の電気、再生可能エネルギーを増やしていくっていうことで、いま太陽光発電を積極的に取り入れてやっています。太陽光と合わせて蓄電池の導入も進めて、防災面、レジリエンス機能の強化といった面も合わせて行っているというのが現状です。」