PFASダイキン公害調停シリーズ③
第1回では、PFASによる環境汚染が全国で広がっていることを見た。
第2回では、ダイキン工業製作所内で製造・排出されたPFOAが、河川や地下水、水道水へと広がっていった経緯を確認した。
では、なぜ全国各地で住民たちは血液検査を求めているのだろうか。
PFAS問題では、常にこの問いかけが中心にある。全国各地で住民たちが血液検査や健康調査を求めている背景にも、人への影響が未確認という問題がある。
今回は、現在わかっていることと、まだわかっていないことを整理しながら、なぜ血液検査が求められているのかを考えてみたい。
海外で積み重ねられてきた研究
PFASのうち、PFOAやPFOSについては海外で長年研究が続けられてきた。
国際がん研究機関(IARC)は、2023年にPFOAを「ヒトに対して発がん性がある」と評価した。また、PFOSについても発がん性の可能性があると評価している。
海外では、腎がんや精巣がんとの関連のほか、コレステロール値の上昇、免疫機能への影響などを示す研究が報告されている。
さらにPFASは胎盤を通じて胎児へ移行することや、母乳を通じて乳児へ移行することも確認されている。出生体重や子どもの発達との関連についても研究が続けられている。
こうした研究成果を受け、欧米では規制強化や基準値の見直しが進められてきた。一方で、すべての健康影響について科学的評価が確立しているわけではない。
どの程度の曝露でどのような影響が生じるのか、個人差を含めてなお研究が続けられている。PFAS問題が難しいのは、健康への影響を示す研究が積み重ねられている一方で、不明な部分も残されていることである。
なぜ血液検査が行われているのか
PFASは自然界で分解されにくく、人体の中でも長期間残ることが知られている。そのため、血液中のPFAS濃度を測定することで、その人がどの程度PFASに曝露されてきたのかを推定することができる。ただし、血液検査でわかるのは曝露の状況であり、病気の診断ではない。
血中濃度が高いことが、直ちに健康被害の発生を意味するわけではない。
それでも各地で血液検査が求められているのは、自分たちがどの程度PFASに曝露されてきたのかを知りたいからである。また、地域全体としてどのような状況にあるのかを把握し、今後の健康調査や疫学研究につなげるためでもある。

海外では、血中濃度について一定の目安も示されている。
例えば、米国科学・工学・医学アカデミーは、PFASの血中濃度が一定の値を超えた場合、追加の健康評価や医療相談を検討することを推奨している。また、ドイツ環境庁は、PFOAの血中濃度について「健康リスクがあり得る指針値」を示している。
こうした指標が存在することも、住民が血液検査を求める理由の一つとなっている。
またPFASは血液中に蓄積するだけでなく、胎盤を通じて胎児へ移行することや、母乳を通じて乳児へ移行することも確認されている。そのため海外では、出生体重や免疫機能、子どもの発達との関連についても研究が続けられている。
PFAS問題が注目される理由の一つは、現在の世代だけでなく、次の世代への影響も懸念されていることにある。
全国で進む血液検査

こうした中、全国各地で血液検査の取り組みが始まっている。
東京・多摩地域では、市民団体などが実施した血液検査に791人が参加した。その結果、検査を受けた人の46%が、米国科学・工学・医学アカデミーが示した指標値を上回ったと報告されている。地域別に見ると、国分寺市では93%、立川市では74%が指標値を超えていた。
岡山県吉備中央町では、PFASによる水道水汚染が問題となり、全国で初めて自治体による公費の血液検査が実施された。
また、石川県白山市でも住民を対象とした血液検査が始まっている。
さらに2026年6月には、静岡県で行われた住民の血液検査結果が公表された。報道によると、検査を受けた37人のうち7人が、ドイツ環境庁の指針値である10ng/mLを上回っていた。最も高かったのは工場近くの井戸水を飲用していた70代男性で、96.29ng/mLが検出されたという。
汚染源や地域事情は異なる。しかし、住民たちが抱く疑問は共通している。
「自分たちはどの程度PFASに曝露されてきたのか」
「健康への影響はないのか」
「実態はどこまで明らかになっているのか」
という問いである。
求められているのは実態把握
5月に結成されたPFAS全国連絡会は、公的責任による血液検査や健康調査の実施を求めている。その背景には、各地の住民団体に共通する問題意識がある。
健康への影響について議論が続いているにもかかわらず、十分な調査が行われていないのではないかという疑問である。
血液検査や健康調査を求める声は、健康被害を断定するためのものではない。
まずは何が起きているのかを知りたい。
その実態を把握したい。
そして必要な知見を集めたい。
PFAS問題では、「知見が不足している」という説明がしばしば行われる。しかし、知見が不足しているのであれば、その不足を埋めるための調査が必要になる。全国各地で広がる血液検査の取り組みは、そのための第一歩とw@m3\4
。
「知見がない」というのであれば、まず知見を集めることが求められているのではないだろうか。
7月1日ダイキンPFAS公害調停第1回期日
大手空調メーカー「ダイキン工業淀川製作所」(大阪府摂津市)周辺で発がん性が指摘されるPFOA(上述の通りPFASの一種)が検出された。土壌や水質汚染が強く疑われることから、地元住民らが昨年12月に大阪府公害審査会に公害調停を申請した。健康調査や汚染除去対策などを求めるもので、来月7月1日が第1回期日となっている。
この問題に大勢の市民が関心を持っていることを示すため、多くの申請人の参加を呼び掛けている。
●日時 2026年7月1日 午後3時00分開始
●会場 大阪府庁新別館北館(地下鉄谷町四丁目駅下車)
参加名簿提出や、本人確認が必要なため、くわしくは、ダイキンPFAS公害調停をすすめる会にご確認ください。
06-6268-3970(代)
第3次申請人募集
ダイキンPFAS公害調停をすすめる会では、第3次申請人の募集を行っている。
「申請人になっていただける方」として、
摂津市およびその近隣の市町村にお住いの方または摂津市に通学、通勤その他一定の頻度でダイキン工業淀川製作所及びその周辺に出入りされている方または過去にそのような事実があった方で、淀川製作所からの汚染を何らかの形で受け、受けたおそれがあり、または今後受けるおそれがあると考える方(年齢、性別、国籍は問いません)。
とされている。
くわしくは、すすめる会「ダイキンPFAS公害調停に参加される皆様へ」でご確認ください。
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