【連載:都市防災を考える】第4回:地域防災計画の見直しと、住民と共に進めるこれからの防災

再開発問題進化する自治 vision50
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これまで、都市機能の集約や公園の多機能化といった「ハード」のあり方について考えてきました。最終回となる今回は、それらを形にするための「計画(ソフト)」と、住民が主役となるアクションについてお話しします。

1. 都市部の避難場所不足と、形骸化する行政の防災計画

都市部において、避難場所が質・量ともに不足している事実は否めません。現状の多くの地域防災計画では、郊外の広い土地には立派な防災公園が整備される一方で、本当に避難場所を必要としている密集市街地には、十分な拠点が確保できていません。

「都市部には場所がないから仕方ない」と諦めていていいのでしょうか?多くの公園で見られる「とりあえずマンホールトイレやかまどベンチを設置する」といった形式的な備えではなく、限られたスペースだからこそ、日常のイベント等で使いながら、いざという時にもすぐに使えて、かつ衛生的に機能する。そんな都市部ならではの防災トイレ、あるいはカフェを炊き出し会場として利用する。こうした「これからの避難のあり方」を住民自らが主体となって描き、具体化していく。その能動的な姿勢こそが、今まさに求められています。

課題解決を行政任せにするのではなく、住民が当事者意識を持って「自分たちの避難場所がどうなっているのか」を調べ、学ぶことからすべては始まります。ワークショップなどで地域の課題を可視化し、実現可能な計画を自分たちで考える。このプロセスそのものが、地域の防災力を高める重要なステップとなります。

2. 市民の提案が行政を動かした成功事例

住民の活動がきっかけとなり、防災公園の実現や計画修正に至った事例は各地で生まれています。
三鷹中央防災公園・元気創造プラザ
[三鷹中央防災公園・元気創造プラザ]
このプロジェクトの最大の特徴は、老朽化した旧庁舎の跡地活用において、行政が一方的に計画を押し付けるのではなく、計画の白紙段階から徹底的に市民が関わった点にあります。

具体的には、公募市民によるワークショップやフォーラムが繰り返し開催されました。そこでは、単に「防災」や「賑わい」といった抽象的な言葉を並べるのではなく、「ここに何が必要か」「災害時にどう動くのか」を市民自らが図面や模型を使って具体化していきました。

「自分たちのまちに必要な機能は何か」を市民が問い続け、それに応える形で行政が専門的な裏付けを行い、基本計画へと昇華させたのです。その結果、日常はスポーツや福祉の拠点として賑わい、災害時には高度な司令塔機能を果たす、実効性の高い多機能拠点が誕生しました。
行政が具体的なイメージを提示しないまま進めるのではなく、市民が主体となって「具体的な計画」を共に描き出したこと。このプロセスこそが、今の都市開発に最も求められている「まちづくりの姿」ではないでしょうか。

3. 地区防災計画への市民参加と「提案書」の力

地域の防災力を高めるための法的根拠として、災害対策基本法の二つの条文が私たちの活動を支えています。

災害対策基本法第16条では、地区防災計画において「住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」

さらに、災害対策基本法 第42条の2(地区防災計画)では、「地区内の居住者及び事業者は、共同して、地区防災計画を作成し、市町村防災会議に対し、当該計画を市町村地域防災計画に定めるよう提案することができる。」と定められています。私たち住民が自ら計画を作り、行政に対して「これを公式な計画に反映させてほしい」と正式に提案できる仕組みが整っています。

行政に単なる「要望」を出すだけではなく、建築的・計画的な視点を取り入れた「実現可能な計画提案書」を添えることで、議論の質は格段に変わります。住民自らが根拠を持って提案することで、行政側も地域防災計画への反映を具体的に検討せざるを得なくなり、理想の防災公園の実現へと大きく近づくことができるのです。

4. 安全なまちを市民と共に創る

防災力を高めることは、行政の義務であると同時に、そこに住む私たちの権利でもあります。住民が主体となって活動し、行政と共に計画を見直していく。こうした活動を通して、地域のコミュニティはより強固になり、真にレジリエンス(回復力)の高いまちが形作られていきます。
連載の最後に
全4回にわたり、次世代の防災都市モデルについてお伝えしてきました。
駅前の拠点化や公園の多機能化といった新しい仕組みも、それを動かし、真に機能させるのはそこに住む「人」の力です。防災を、単なる「備え」という守りの視点だけでなく、「自分たちのまちをより良くしていくためのプロセス」と捉え直すことで、新しいまちの姿が見えてくるはずです。
専門家の知恵と、地域の方々の想いを掛け合わせ、持続可能で安全なまちを共に描いていければと考えています。
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