枚方の都市核をどう再定義するか──一極集中か、多極連結か、それとも再編か

枚方市駅前再開発をめぐる議論は、
これまで「是か非か」「移転か否か」に集中してきた。
しかし、私たちはまだ一度も、
もっと根本的な問いを正面から扱っていない。
それは――
枚方の都市核は、どこにあるべきか。
再開発とは、建物を建てることではない。
都市の重心を再設定する行為である。
重心を決めずに再開発を進めれば、
必ず迷走する。
それは過去シリーズで見てきたとおりである。
ここからは、批判ではなく設計である。
まずは枚方の都市構造を、冷静に再整理する。
枚方は「多極分散型」のまま縮小期に入っている
枚方の都市構造は、大きく4つの核で成り立っている。
- 枚方市駅(交通+商業)
- 市役所周辺(行政+公共)
- 樟葉(大規模商業核)
- 長尾(JR沿線住宅核)
高度成長期であれば、多極は豊かさの象徴だった。
しかし人口減少期において、多極はコスト増大の構造になる。
- 公共投資が分散する
- 維持費が増える
- 中心性が弱まる
- 市民の帰属意識が分裂する
いまの枚方は、
「どこも中心で、どこも中心でない」
という状態にある。
このままでは、再開発をしても重心は生まれない。
都市核には3つのモデルがある
ここで、枚方が選び得る都市核モデルを、あえて整理する。

① 駅前集中型モデル

枚方市駅を唯一の都市核とし、
- 行政機能を集約
- 公共施設を統合
- 歩行者中心の空間再設計
- コンパクトシティ志向
メリット:
- 中心が明確になる
- 公共交通と整合する
- 人口減少期に合理的
リスク:
- 他エリアの衰退感
- 用地制約
- 大胆な再編が必要
② 多極連結型モデル

いまの構造を活かし、
- 駅前=商業核
- 市役所周辺=行政核
- 樟葉=広域商業核
- JR沿線=住宅核
を明確に役割分担する。
歩行・交通・情報で“連結”する。
メリット:
- 急激な変化を避けられる
- 既存資産を活かせる
リスク:
- 中心性が弱いまま
- 再開発の効果が薄まる
③ 行政核再強化型モデル

市役所周辺を“シビックコア”として再強化する。
- 旧市民会館との統合
- 行政・文化の一体化
- 駅前は商業に特化
メリット:
- 行政機能の明確化
- 用地確保が比較的容易
リスク:
- 駅前再生と切り離される
- 分断構造が固定化する
重要なのは「どれが正しいか」ではない
この3モデルに絶対解はない。
重要なのは、
枚方はどの方向を選ぶのか
そして、何を諦めるのか
を明示することだ。
人口減少時代において、
すべてを維持するという選択肢は存在しない。
選択とは、同時に放棄である。
その覚悟が示されない限り、
どんな再開発も市民の納得を得られない。
枚方に本当に必要なのは「つなぐ設計」
私自身は、単純な一極集中でも、多極放置でもない、
「連結型シビックコア」
が現実的だと考えている。
具体的には、
- 枚方市駅から市役所周辺までを
歩行優先の都市軸で縫合する - 旧市民会館エリアを公共文化拠点として再設計する
- 商業再生と公共機能を空間的に結び直す
- 大規模床ではなく、機能再編で密度を上げる
移転か否かの前に、
まず“つなぐ設計”をする。
都市の問題は、建物の問題ではなく、関係性の問題だからである。
なぜこの議論が、いま必要なのか
いま枚方で進んでいる再開発議論は、
手法から始まっている。
タワーマンション。
市有地売却。
条例制定。
しかし順序は逆である。
本来は、
- 都市核を定義する
- 空間構造を設計する
- その上で手法を選ぶ
でなければならない。
この順序を戻すことこそ、
“枚方リデザイン”の第一歩である。
まとめ
枚方が直面している問題は、
再開発の是非ではない。
都市核を再定義していないことである。
一極集中か。
多極連結か。
行政核再強化か。
どれを選んでもよい。
だが、選ばなければならない。
次回、第2回では、
この「連結型シビックコア」を具体的な空間設計として考えていきたい。
<山口 達也>

