2:福島区は8万人いても担い手は足りないのか

大阪市地方自治の現在地進化する自治 vision50
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市民が参加できるまちの規模と手法について考える全4回の2回目。

「8万人もいる」のに、なぜ担い手は足りないのか

福島区の人口は約8万人である。
数字だけを見ると、小さな地方都市一つ分の人口が暮らしていることになる。

「それだけ人がいれば、市民活動も十分できるのではないか。」

そう思う人も少なくないだろう。
しかし実際に地域活動や公共施設の運営に関わってみると、まったく違う景色が見えてくる。問題は人口ではなく、「実際に動ける人」がどれだけいるかなのだ。

例えば、町会、PTA、地域イベント、公共施設の運営委員会、市民講座の企画などを考えてみる。参加する人は、住民全体ではない。
一般的に地域活動へ継続的に参加する住民は人口の数%程度と言われることが多い。

福島区の人口約8万人で考えても、仮に3%だとして約2,400人。

ところが、その全員が同じ活動に参加するわけではない。

子育て、高齢者支援、防災、文化活動、スポーツ、福祉など、活動分野は数多く存在する。

さらに実際には

・平日の昼間に動ける人
・会議や企画を担える人
・継続して責任を持てる人

まで絞り込まれる。

すると、一つの施設や一つの地域事業を支える人材は、驚くほど少なくなる。

人口規模を比べてみる

現在の人口を比較すると、おおよそ次のようになる。

地域人口
福島区約8.2万人
柏原市約6.6万人
箕面市約14万人

福島区と柏原市は人口規模が近い。一方、箕面市は約1.7倍の人口を持つ。

興味深いのは、箕面市では市民公募による運営委員会や、市民が主体となった公共施設の自主企画が比較的多く見られることである。

もちろん、その背景には市民意識や行政文化の違いもある。

しかし人口規模が大きいことによって、「参加できる人材の母集団」が増えていることも無視できない。

参加率が同じ3%だったとしても、

福島区なら約2,400人。

箕面市なら約4,200人。

単純計算でも約1,800人もの差になる。

しかも企画力や専門性を持つ人材の絶対数も増えるため、活動の幅はさらに広がる。

大きければ良いという話ではない

だからといって、市町村は大きければ大きいほど良い、という結論にはならない。
本来、人口が増えれば行政との距離は遠くなる。自分の声が届いているという実感も薄くなる。地域課題も見えにくくなる。

一方で、小さな自治体は住民同士の距離が近く、顔の見える関係を築きやすい。しかし人口が少なすぎれば、今度は担い手が不足する。同じ人が何役も兼ねるようになり、活動は疲弊していく。

つまり、「住民との距離」と「活動できる人材の厚み」
この二つは常にトレードオフの関係にあるのである。

必要なのは人口ではなく「参加できるしくみ」

重要なのは、市町村の規模だけではない。参加したいと思った人が参加できるしくみそのものである。

短時間でも関われる仕組み。一人に負担が集中しない仕組み。そして行政が市民と出会える入口を数多く用意することである。

人口8万人は、小さすぎるわけでも、大きすぎるわけでもない。しかし、その規模だけに任せていては、市民活動は自然には育たない。

これから人口減少が進む時代には、「何人いるか」ではなく、「参加できる人をどう増やすか」が地域づくりの重要なテーマになっていくのは間違いない。

では福島区ではどうなっているのか

大阪市内24区の行政区全てを調べてはいないのでわからないが、福島区ではどうなっているのか。

地域活動への参加のためには、少なくとも昼間に働いている世代にどう参加してもらうのか、どうしたら参加できるのかが不可欠となる。
福島区は10地区に分かれており、各地区でのPTA等の活動は19時スタートで始まっている。また地域活動協議会での会合も18:30とか19時にスタートしていることが多い。

それらを担当しているのは、主にまちづくりセンターの役割となるが、まちづくりセンターの職員が参加するために、多くはフレックスタイムを利用して対応している。

ところが区役所職員は残念ながら「しくみ」として、参加することはほとんどない。就業時間外だからである。区政会議等の一部を除いて、就業時間外の地域活動に区役所職員が参加することは非常に稀である。

以前は、区の職員が地域に奔走していた。区役所内部にも何人かのキーパーソンがいた。しかし「しくみ」としてはもう完全に失われている。
ひとつには予算配分の問題、そして人的資源の問題もあるであろう。地域活動に、人も予算も割けるような状態ではないのだ。

そんな中で、どのように行政と地域の連携を構築していくべきなのか。
まちの規模だけではなく、しくみそのものに大きな課題が存在しているのではないか。

<山口 達也>

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