「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたら・・・2

レポート防災・減災
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日頃から実施すべき備え

12月16日午前0時をもって、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発表に伴う政府としての特別な注意の呼び掛けの期間が終了した。しかし地震発生の危険性が無くなったわけではないし、気象庁も「家具の固定や避難場所・避難経路の確認など日頃からの地震への備えについては、引き続き、実施してください。」としている。ネット上では気象庁や内閣府、首相官邸など災害・防災関連の情報は、数多く掲載されている。そのいずれでも「日頃からの備え」を強く求めている。

南海トラフや東京直下型地震など、大地震のシミュレーションや防災に関する情報が多く発信されるとともに、先日の青森県東方沖地震のように日本各地で地震が発生していることもあり、防災意識は高まっていると思われる。備蓄やローリングストックを実践されている方も多いと思う。
前回に引き続き、南海トラフ等の大地震発生後のシミュレーションをもとに、政府の提唱する「日頃からの備え」についてくわしく考えていきたい。防災の備蓄に関しては、政府だけでなく各自治体をはじめ民間企業や専用のサイトまで数多く発信されている。その多くは東日本大震災の経験や政府の想定をベースに作られている。ならばそれでいいのではないか、とも思う。それらは、備蓄の負担や生活スペースのことを考えた上での想定なのだが、もし事情が許されるのであれば、災害シミュレーションからもう少し突き詰めて考えてみてはどうだろうか、というのが今回の試みだ。

さて、「日頃からの備え」としてどういうことが求められるのかを見てみる。
南海トラフ地震情報を発信している「気象庁」サイト内に「地震から身を守るために」というタイトルのページがある。ここに「地震から身を守る行動の具体例」が紹介されている。
地震から身を守る行動の具体例
日頃からの備えの例
地震から身を守る行動の具体例 日頃からの備えの例 気象庁「地震から身を守るために」より
図の通り、
 ●備蓄・非常持ち出し品の準備
 ●安全スペースの確保
 ●周囲の状況の確認
 ●連絡手段の確認
 ●家具の固定
 ●訓練に参加しよう

ということが掲載されている。

また、同ページには「安全を確保するための行動例」として地震発生時にどこにいるかによって、注意すべき行動例が示されている。
安全を確保するための行動例
家庭では、安全スペースに避難。頭部を保護し、丈夫な机の下など安全な場所に避難。あわてて外へとびださない。無理に火を消そうとしない。
屋外(街)では、ブロック塀などの倒壊に注意。看板や割れたガラスの落下に注意。
エレベーターでは、最寄の階に停止させ、すぐに降りる。
鉄道・バスでは、つり革・手すりにしっかりつかまる。
地震から身を守る行動の具体例 安全を確保するための行動例 気象庁「地震から身を守るために」より
  • 家庭では、安全スペースに避難。頭部を保護し、丈夫な机の下など安全な場所に避難。あわてて外へとびださない。無理に火を消そうとしない。
  • 屋外(街)では、ブロック塀などの倒壊に注意。看板や割れたガラスの落下に注意。
  • エレベーターでは、最寄の階に停止させ、すぐに降りる。
  • 鉄道・バスでは、つり革・手すりにしっかりつかまる。
また、同じく気象庁の「「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたときの防災対応」というページにも「日頃から実施すべき備え」という項目があり、図版で示されている。前述の「地震から身を守る行動の具体例」をもう少し詳細に事例を示されており、わかりやすくなっている。

この情報は、日頃からの地震への備え「マンガで解説!南海トラフ地震その日が来たら・・・」からの転載となっている。内閣府の防災情報のページ内の「南海トラフ地震防災対策」ページに「南海トラフ地震臨時情報に係る防災対応」という項目があり、参考資料として「 事例集、動画、リーフレット」へのリンクがある。ここにその原本が掲載されている。

内閣府「南海トラフ地震防災対策」
日頃から実施すべき備え
大きな地震への備え
日頃から実施すべき備え 大きな地震への備え 気象庁「「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたときの防災対応」より

地震発生後、どのように行動すれば良いか

また、「南海トラフ地震 -その時の備え-」では、
「地震発生後の防災対応の流れ」の中で、南海トラフ臨時情報の種類別の対応の流れが確認できる。
時間差で発生する巨大地震に備えましょう~南海トラフ地震臨時情報~
地震発生後の防災対応の流れ
地震発生後の防災対応の流れ 気象庁「リーフレット(多言語対応)南海トラフ地震 -その時の備え-」より
また、ここでも地震の発生への備えについての記載がある。
ここでは特に「感電ブレーカー」の導入をぜひ実施いただければと思う。地震発生後にどんな電化製品を使っていたかはわからなくなる。電力復旧後、暖房器具や壊れた電気器具からのショートなどによって火災発生の危険性が高まる。阪神淡路大震災でも、東日本大震災でも、電力復旧後に発生した火事による被害が大きかった。そうしたリスクを下げることができるので、感電ブレーカはできれば必須と考えたい。
地震の発生に備えよう
・家具の固定
・非常用持ち出し袋の準備
・水や食料の備蓄
・避難場所や避難経路の確認
・感電ブレーカーの設置
・建物の耐震化
地震の発生に備えよう 気象庁「リーフレット(多言語対応)南海トラフ地震 -その時の備え-」より

ライフラインの被害状況から備蓄について考える

備蓄についての具体的な内容について改めてみてみよう。
政府広報オンラインの災害の中に「災害に備えた家庭備蓄のポイント」という動画が掲載されている。l

ここでは動画で以下のような内容が掲載されている。
ナレーションの中にもあるが、乳幼児や高齢者にとって環境が変わることだけでなく、摂取する食事も一般の人とは異なることが多いだろう。大人であれば一日、二日食べなくても済ませられるかもしれないが、そうもいかない人にとっては、日頃から食べなれているもの、食べられるものを備えておくことは重要だ。これはペットなどにも同じことが言えるだろう。
災害に備えた家庭備蓄のポイント
政府広報オンライン「災害に備えた家庭備蓄のポイント」より
災害の備えとして、水は一人1日3リットル、食品は最低3日から1週間分備えることが望ましいとされています。

大きな災害が発生すると支援物資が3日以上届かないことや物流機能の停止によって1週間はスーパーマーケットなどで食品が手に入らないことが想定されるためです。

東日本大震災直後は、避難所で提供された食事を食べることができなかった方がいたという事例もあります。これは食物アレルギーがある方、ミルクや離乳食が必要な乳幼児、咀嚼が困難な高齢者など要配慮者の方々です。
食物アレルギーの方は、ご自身で食物アレルギー対応食品を備蓄しておくと安心です。
乳幼児に対しては、食べ物や飲み物以外に紙コップ、使い捨てスプーンなどの備えがあるとより安心です。このほか液体ミルクを備えておくことも有効です。
高齢者の方も柔らかい食べ物など、ご自身にあった食品の備蓄を行う必要があります。
また高血圧や腎臓病などで食事に気を付けなければならない方も同様です。

カセットボンベは一人1週間約6本程度必要とされています。
災害時の重要なライフラインとして、上下水道、電力、通信がある。これらはそれぞれ「水」「排水・排泄」「エネルギー」「情報」といった生活に直結している。
まず、上水道被害状況を直後、1日後、3日後、1週間後それぞれの状況を書き出してみた。
地震直後の状況
  • 管路、浄水場等の被災や運転停止により、揺れの強いエリア及び津波浸水エリアを中心に断水が発生する。
  • 耐震化未実施の導水管・送水管、浄水場等を中心に甚大な被害が生じる。
1日後の状況
  • 停電エリアで非常用発電機の燃料切れとなる浄水場が発生し、東海や四国では断水する需要家が増加する。
  • 管路被害等の復旧は限定的である。
  • 被災した浄水場の復旧はなされない。
3日後の状況

  • 管路の復旧は、ほとんど進展しない。
  • 東海三県で約7~9割、近畿三府県で約6~7割、山陽三県で最大約2割、四国で約9割、九州二県で約3~6割の需要家が断水したままである。
  • 停電により運転を停止していた浄水場は、非常用発電機の燃料を確保し、運転を再開する。
1週間後の状況
  • 管路の復旧が進み、断水が解消されていく。
  • 東海三県で約4~6割、近畿三府県で約1~2割、山陽三県で最大約2割、四国で約4~7割、九州二県で約2~4割の需要家が断水したままである。
  • 地域によって、地元の施工業者に依頼が殺到し、宅地の給水管の復旧が遅れる。
これらの被害状況と復旧のシミュレーションを見てみると、3日後では、上水道での管路復旧はほとんど見込みがなさそうだ。この時の交通施設被害を見てみると、後発地震発生の3日後の想定では、「2回の地震により被害を受けた道路施設の応急復旧が完了せず、緊急車両等の通行に支障を来す。」とあり、緊急車両でさえ通行がままならない状況が想定されている。給水車がが稼働するための道路事情は、復旧が遅れることもあるだろう。現在備蓄情報の多くは、水、食料については最低3日分と言われることが多い。しかし最悪の状況を考えれば、政府広報「災害に備えた家庭備蓄のポイント」が但し書きとして伝えているように、3日より4日、4日より7日と、可能な限り1週間分を確保しておくことが必要と感じる。
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