第1回:「なぜ今都構想?」という違和感

レポート
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社会課題の解決を自由な発想で考え、勉強会やシンポジウムでの質疑など、個人にできることを実践する市民さんより、先般の都構想に関するタウンミーティングについて、「【都構想タウンミーティング巡り】で見えた民主主義の危機」と題してレポートいただきました。基調な現場の声として、ucoでは全4回の掲載を行います。

はじめに

4月5日から約1ヶ月にわたり開催された「都構想タウンミーティング」。
私は、此花、平野、住吉、中央、生野、大正、淀川、天王寺、都島の合計9ヶ所を巡りました。
その質疑応答が公開されたのは最終回だけ。
しかし、そこに至るまでの各会場では、報道では語られない、市民の「リアルな声と熱量」が溢れていました。

この連載は、都構想の是非を論じることが目的ではありません。
一市民の視点から現場の空気感をまとめたものです。

会場で発せられた「生の声」は、公式の記録としてはどこにも残りません。
だからこそ、会場に足を運んだ私たちが、メモを頼りに「キオク」を辿り、「キロク」として残すべきだと考えました。

質疑応答では2回マイクを握る機会を得たので、その意図も合わせて記します。
あえて「キロク」と表記したのは、これが公的な議事録ではなく、一市民が現場で受け取った印象を含むものだからです。
ただし、質疑者本人の声は一次情報であり、誰にも歪められることのない事実です。

都構想タウンミーティング巡りを決意したきっかけ

知人から「都構想のタウンミーティングがあるらしい」と聞いた時、正直「なぜ今?」と思った。
私は毎日、緊迫する中東情勢や物価高を心配しているのに。
「15年後の未来より、半年後が心配」。とりあえず聞きに行ってみることにした。
そして会場へ行って驚いた。

多くの人は「都構想タウンミーティング」という名前を見て、当然「都構想の中身」を知りたくて会場に足を運びます。
しかし、「これは都構想の説明をする会ではありません。都構想の設計図を書くための『法定協議会』を設置しても良いかを聞く会です」と知らされるのです。
騙された気分になりました。

都構想の中身についての質疑を用意してきた市民が、戸惑いながら質問しても、返ってくるのは「まだ何も決まっていません」「意見として承ります」という回答ばかり。

会場からは「不誠実だ」との声が上がる。
一方で、「よくわからない」という人には、維新側が用意したメリットを丁寧に説明する。
タウンミーティングって対話する場じゃなかったの?これは対話じゃない。

しかも、この質疑応答の時間はマスコミが退出させられ、維新の会の公式YouTubeからもカットされていることを知りました。

どんなやり取りがあったのかを知るには、会場に行って直接聞くしかありません。
録音不可なので、私はメモを片手にタウンミーティング巡りを始めました。

各地の会場で、市民による冷静で知的な指摘をずっと聞き続けてきたからこそ、最終日の囲み会見での竹下幹事長の発言には驚きました。

皆さん都構想の中身を聞きたがる。だから法定協議会の設置をしてほしいのかな、と感じています

あれだけ参加者から冷静な指摘をたくさん受けていたのに、よくこんな発言ができるな、と。

ほとんどの出席者は一度しか行かないはずです。

都構想のタウンミーティングなのに、会場でいきなり「都構想の中身は決まっていない」と説明を受ける。過去の都構想タウンミーティングとの違いなど、事前にわかるはずもありません。

こうした違いのわからない市民による、都構想の内容についての質問を、自分たちの都合の良い「法定協議会設置の賛成意見」へとすり替えて利用したのです。
最初から騙すつもりで仕組まれた会であったのか、と疑いたくなる回答でした。

「キロク」をまとめようと思った理由

当初、私はこのタウンミーティングを、「大阪の二元代表制が、かろうじて機能している証拠」だと好意的に受け止めていました。
3月の議会で維新市議団が「一方的に進めず、声を聞く」と決めた結果だったからです。

【ミニ解説:二元代表制とは?】
住民が「首長(市長)」と「議会(議員)」の両方を直接選挙で選ぶ仕組みです。
本来、この両者が「車の両輪」として互いに牽制・抑制し合うことで、首長の独走を防ぎ、多様な意見を反映させるのが、地方自治での民主主義の基本です。

しかし、回を重ねるごとに、市議団の姿勢に疑問を抱くようになりました。
「二元代表制とは、民主主義とは何か。本当にわかっているのだろうか?」
と疑いたくなる場面が、あまりに多かったのです。

会場には、私のように複数回足を運んでいる人が他にもいました。事前に質疑をまとめ、真剣に準備をして臨んでいました。

それは市政への深い関心ゆえの言葉だと感じました。

30分という限られた質疑時間が単なる「時間潰し」に終わらなかったのは、熱心な市民が対策を練って、具体的な回答を引き出そうと食い下がったからでした。

ところが最終日の囲み会見で、竹下幹事長は「複数回参加の反対派がアンケート結果を歪めている」との認識を示されました。

「アンケートは参考にしますが、重要視しません。これからweb、世論調査を注視する」

4月の休日を潰し、交通費を払って足を運んだ市民の熱意を、切り捨てるかのような発言には心から失望しました。

タウンミーティングは対話の場ではなかったのか。
会場に満ちていた市民の真剣な思いは何だったのか。

最終回だけがフルオープンで公開され、多くの人はその映像だけを見てアンケートに答えるでしょう。
しかし、過去回でどんな質疑が投げられ、どう答えたのか、市民は知る術がありません。これは著しく不公平です。

民主主義のプロセスを重んじるために開かれているはずのタウンミーティングが、判断材料を隠し、恣意的に操作されている。
これは都構想以前に、大阪の民主主義が正しく機能していない証拠ではないでしょうか。
ぜひ、法定協議会設置の可否のアンケートに答える際には、維新側の集計だけでなく、タウンミーティングで語られた「生の声のキロク」も参考にしていただきたいと思います。

第2回は、私が質問した「中東情勢に伴う原油高が招く、開発工事費の増額リスク」をお届けします。

【都構想TM巡り①】第1回:「なぜ今都構想?」という違和感
市民/Civic Steering Osaka
2026年5月15日
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