第4回:都構想タウンミーティングは民主主義の戦いだった

レポート
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社会課題の解決を自由な発想で考え、勉強会やシンポジウムでの質疑など、個人にできることを実践する市民さんより、先般の都構想に関するタウンミーティングについて、「【都構想タウンミーティング巡り】で見えた民主主義の危機」と題してレポートいただきました。貴重な現場の声として、ucoでは全4回の掲載を行います。本稿はその第4稿目‐最終回。

印象に残った質疑・応答

今回のタウンミーティング巡りの中で、私が印象に残った意見や、やり取りを紹介します。

手順ややり方についての苦言

意見)私は維新を応援する立場で意見します。1年後に選挙がある。法定協議会で意見をまとめて住民投票までするには時間がない。住民投票はまた失敗する。1年後あなた達が議員であるかもわからない。都構想を争点に選挙で信任を得てから。法定協議会の設置は1年後でいいのではないですか?(生野区)

意見)市会議員の選挙を待って、手順を踏んでやってほしい。知事の思いつきで壊さないでほしい。(天王寺区)

意見)筋を通して下さい(中央区)

住民投票の拡大(府域全体)への懸念

意見)よく東京と比較されるが、東京は都市部が多数派(7割)、大阪は都市部は少数派(3割)、当事者の大阪市民を少数派に追いやることになる。もし市内の話を市外の多数で決められることになるのなら賛成できない。(生野区)

質疑)市民のことを第一に考えるのが市会議員。府民にまで住民投票を広げることをどう思うか。(住吉区)

市議)私は大阪の人全てが良くなればいいと思う。

世界情勢とリスク管理

質疑)石油危機で日本が回らなくなったら、都構想の話などできない。そうなった時でも法定協議会ができると思いますか?(生野区)

市議)エネルギー問題の対策は国の政策なので、法定協議会は関係なく進められるものと思っている。

国議)エネルギー代替えルートの確保は進んでいる。

都構想の必要性と「二重行政」の現在地

質疑)二重行政解消の具体的な例は?(生野区、大正区)

市議)(過去のATCとWTCの問題を語り)大阪市大、府大の統合、ウメキタ再開発は府市連携できた。

質疑)府市一体行政で上手くいっているのなら、都構想は必要か、都構想の方が良い理由は?(大正区)

市議)今は府市一体で上手くいっているけれど、未来永劫ではないので、今のうちに一体化を決めた方がいいから、都構想を推進している。もし、府市が同じ方向を向いていなければ、副首都に決まっても取り消される。

意見)同じ方向を向いてなければ、政治が進まないという考え方は怖いです。維新の人の考える豊かさと は。二極対立は市民を分断させる。(淀川区)

コストと財源への疑問

質疑)都構想をやって、どうやって資金を回収するのですか。(天王寺区)

質疑)区割りをしたら行政コストが増えると思う。事業費が膨らんでいる。開発などのお金のつかい方に問題がある。(天王寺区)

回答)財源コストがかからないように設計図を書く。

質疑)今まで二回の住民投票にどれだけ費用がかかっていますか?

回答)1回目32億円、2回目10億円。直接民主主義の必要なコストと考えている。

質疑)都構想で区の再編をすると、膨大な手間とコストがかかることを認識していますか?

回答)書類等数年かけて変更していくものと考えている。

パワーバランスと二元代表制

質疑)法定協議会の設置について府市が対立している。そんな中で法定協議会を作って上手くいくのか。市よりも府が強く感じる。(天王寺区)

市議)仲は悪くない。

質疑)大阪市解体は政党の都合ではなく、私達の生活がかかっているので、大阪市議団の皆さまには二元代表制を守っていただいて、パワーバランスに負けないでほしい。トップダウンの国 の良くない事例がある。

驚きの回答

質疑)議員定数削減はなんのためなのか。市民の声が届きにくくなるのではないか。そんなに議員はヒマなのか(淀川区)

市議)物事を変えるには市役所の職員に本気になってもらわないといけない。そのために自分たちの議席も報酬も減らすことにした。自分達は身を切っているのだから、職員も本気になれ、と(いうことで議員定数削減をしている)。

賛成意見の数々

意見)大阪は昔に比べてキレイになった。市議団は反対などしないで、大阪が良くなるようにしてくれればいい。

意見)選挙で知事、市長共に当選した。多数決で民意を得たのだから、反対意見など聞かずに進めればいい。

意見)難しいことは良くわからないので、いいようにしてくれればいい。

意見)維新を支持している立場としての意見です。選挙でトップが民意を得たので、市議団の人には速やかに実施してほしい。

意見)広域行政の価値はある。大阪市だけ発展しようと考えるのは良くない。

意見)反対派は政令都市がなくなると言うが、都になるのだからいいのではないか。

聞き出した「都構想が想定していること」

質疑)府域全体から徴収し、大阪市で使われることになる認識で良いですか(淀川区)

回答)大阪市内に投資するほうが効率がいい。府の税金も市内に投入されます。
(私 : 府内のインフラ整備に市の税金を使うこともあると思うが)

質疑)何も決まっていないのに、都構想を進める理屈がわからない。議員個人で今の時点で言えることを聞きたい。

回答)2040年代問題の解決のため、都構想の先にあるのは道州制。

1. 巡り終えて見えた「都構想」の輪郭

9ヶ所の会場に足を運び、説明を聞き続けてようやく、都構想が目指しているものの輪郭が見えてきました。

二重行政はすでに一体化条例でほぼ解消されています。それなのに、膨大な費用と手間をかけてまで都構想を進めたい。その本音は、権力をひとつに集中させたいということでしょう。

都構想のメリットも理解できました。しかし、そこに至るまでの「膨大な費用と手間」という現実を、あまりにも軽視しているように見えます。

未来永劫の一元化。それは独裁にもなり得る権力集中です。そのためだけに膨大なコストをかける価値が、今の大阪にあるのでしょうか。

2. 市民の進化と、置き去りにされた誠実さ

このタウンミーティングは、民主主義を守りたい市民と、それを軽んじる側との「戦い」の場でもありました。

回を重ねるごとに市民の質問は鋭くレベルアップし、それに応じるように市議団も毎回反省会をして臨んでいる様子が伝わってきました。

私はその光景に「これこそが市民参加の政治だ」と希望を感じ始めていたのです。

しかし、その手応えは、最終回の囲み会見でのコメントによって打ち砕かれました。カメラの前で語られた言葉は、熱心に市政に向き合う市民を切り捨てるような内容だったのです。

3. 「操作される民意」への違和感

ここで起きていたのは、単なる「賛成と反対の意見の相違」ではありません。二元代表制や熟議といった「民主主義のルールを守ろうとする市民」と、「数の力で結論ありきで進める勢力」との対立だったのです。

市民に与える情報を恣意的に操作し、都合の良いデータをもとにアンケートや世論調査を行う。それは、本来の民主主義ではありません。

二元代表制でありながら、議会がただのイエスマンならば、私たち市民が直接、見張るしかありません。

タウンミーティングのような場こそ、一切の不透明さを排除した「ガラス張り」にすることを、私たちは強く要求していく必要があります。

4. 結び:私たちが選ぶべき未来

今回のタウンミーティングは、法定協議会の設置を認めるか、否かを問う場でした。私たちが考えなければならないのは、どちらの道を選ぶかです。

膨大なコストをかけて制度で権力を固定化しなければ、大阪は発展できないのでしょうか?

今の制度のままでも、府と市が協力して大阪の発展を目指していく道はないのでしょうか?

もし協力できない代表ならば、選挙で落とせばいいだけのこと。市民の一人ひとりが真剣に選挙に向き合えば、それは実現できるはずです。

また、都構想の大きなデメリットとして、膨大な初期費用がかかる点も忘れてはなりません。
今の大阪は、夢洲のIR(統合型リゾート)開発にともなうインフラ整備をはじめ、総事業費がほぼ倍増の6,500億円に膨らむ見通しとなったなにわ筋線、大幅な予算増額と工期延長が問題となっている淀川左岸線(2期・延伸部)など、多額の公費を投じる大型プロジェクトが山積みです。これに加えて都構想のコストまで、今の、そして未来の私たちは本当に負担できるのでしょうか。

副首都になれば国費が入ると言いますが、府市の負担がゼロになるわけではありません。

一度「お任せ」を選べば、後から元に戻すことができないのが都構想です。

これは単純に「賛成」か「反対」か、だけで決められるものではありません。

大切なのは、異なる意見を持つ者同士が向き合い、悩み、言葉を尽くすこと。その泥臭いプロセスこそが、民主主義の本質ではないでしょうか。

市政に真剣に向き合う市民の存在こそが、これからの大阪を変えていく。

「民主主義とは熟議の末の多数決であるべきだ」
私は、そう信じています。
みなさんはどう思われますか?

【都構想TM巡り④】第4回:私たちが求めているのは民主的なプロセス
市民/Civic Steering Osaka
2026年5月16日
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