大阪はどのような農業を残そうとしているのか

コラム
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前回のコラムで紹介したように、東京都は2025年度から「東京の田んぼ復活プロジェクト」を始めた。
この政策のポイントは、単に水田を残そうとしているだけではないことだ。田植えや稲刈りだけでなく、水路管理や地域活動への参加など、多くの人が農に関わるしくみづくりを進めている。都市の中で農地を維持するだけでなく、農を支える人との関わりを広げようとする試みともいえる。

では、大阪はどうだろうか。大阪府もまた、都市の中に農地を抱えており、政策面でも農地保全や防災、ブランド化などが重視されている。
どちらが正しいという話ではない。

しかし、そこには「都市の中の農をどう残すのか」という考え方の違いが見えてくる。
大阪は、どのような農業を残そうとしているのだろうか。

1 都市の中の農をどう残すのか

図1 都市の中の農をどう残すのか
東京都の「東京の田んぼ復活プロジェクト」は、田植えや稲刈り、水路管理などを通じて、多くの人が農業に関わる仕組みづくりを進めている。

一方、大阪府の農業施策を見ると、農地保全やため池整備、ブランド化など、農空間そのものを維持する取り組みが多く見られる。
どちらも都市農業を守ろうとする政策だ。しかし、その重点は必ずしも同じではない。

大阪府内の市街化区域内農地は、1975年の13,277haから2021年には3,158haへと減少した。都市化の進行の中で、農地は大きく減少してきた。
図2 大阪府の農地は減少を続けている
図3 農業を担う人も減少している
農業就業人口や基幹的農業従事者も減少を続けている。農地だけでなく、それを支える人も減っている。
農地を守ることと、農業を受け継ぐこと。それは同じことなのだろうか。

2 大阪府は何を重視しているのか

図4 大阪府は何を重視しているのか
大阪府の農業関連施策を整理すると、大きく三つの方向性が見えてくる。
一つは、農地やため池、農業用水路などを維持する「農空間を守る」施策。
二つ目は、大阪産(もん)のブランド化や販路拡大など「魅力を高める」施策。
そして三つ目が、新規就農や経営支援など「担い手を育てる」施策である。
もちろん、いずれも重要な取り組みだ。しかし図を見ると、現在の大阪府農政が何を重視しているのか、その輪郭が見えてくる。

3 ブランドの背後にあるもの

大阪には、「大阪産(もん)」として紹介される農産物は数多い。
しかし、その価値は名前や知名度だけで生まれるものではない。
その土地で受け継がれてきた
固定種。
栽培技術。
生産者の経験。
地域に根付いた食文化。
そして地域の記憶。
そうした積み重ねの上に、ブランドは成り立っている。
特に泉州水なすや八尾若ごぼうなどは、その土地で長く受け継がれてきた固定種があって初めて成立する農産物でもある。しかし、その土台にある技術や経験、食文化の継承は、どのように支えられていくのだろうか。

おわりに

農地を守ることは重要だ。
ため池や農業用水路を維持することも重要だ。
ブランド化もまた必要だろう。
しかし、農業とは土地だけで成り立つものではない。
そこには人がいる。
技術がある。
経験がある。
食文化がある。
地域の記憶がある。

大阪はどのような農業を残そうとしているのか。
その問いは同時に、大阪はどのような食文化を継承できるのだろうか。
また、大阪はどのような暮らしを残していけるのだろうか。
という問いにもつながっている。
出典
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