先週末17日、大阪市では西区において市会議員の補欠選挙が行われた。3候補のうち、維新候補と自民候補、その差は163票だった。
この数字だけを見ても意味はわからない。維新という政党への支持が低下した、と単純に言えるものでもない。
まずは今回の結果を確認したい。

くりた ゆうや(大阪維新の会)9,162票(43.9%)
花岡 みや(自由民主党)8,999票(43.1%)
平松ひでき(無所属)2,732票(13.1%)
上位2候補の差は163票。有効投票に占める差は1ポイント未満だった。
さらに今回の補選では、投票率24.1%という低さも注目された。
補選だから投票率が低い、と単純には言えない。過去の大阪市内の補選では、統一地方選を上回る投票率となった例もある。今回の西区補選の投票率は、過去の大阪市内の補選と比べても低い傾向にあるようにも見える。
ただし、24.1%という数字が何を意味するのかは、慎重に見る必要がある。
今回注目したいのは、163票差そのものでも、投票率の低さそのものでもない。
その意味を考えるには、これまでの推移を見る必要がある。
西区における投票行動の推移
西区はこれまで、大阪市24区の中でも比較的「維新・都構想支持」が強い地域だった。実際、西区の市議選を見ると、維新系候補の得票率は次のように推移している。

一方、大阪市廃止・特別区設置を問う住民投票では、西区は賛成多数だった。

市民は政治や行政に対して何を問うか
もちろん、市議選と住民投票は本来異なる性格を持つ。
市議選は政党や候補者への評価であり、住民投票は制度変更への賛否だ。また、市議選は定数や候補者構成も異なるため、得票率をそのまま支持率変化として比較することにも限界がある。
そのうえで、今回の結果は、西区という、これまで維新や都構想への支持が比較的強かった地域でも、何か別の変化が起きている可能性を示しているようにも見える。
ただ、一つ考えられるのは、市民が政治や行政に対して問う内容そのものが変化している可能性だ。
つまり、「制度を変えるか」ではなく、
「いま行政は何を優先すべきか」
という問いである。
限られた行政資源を、いま何に使うのか
現在、大阪市が抱える課題は少なくない。
例えば、老朽化した上下水道の更新では、国の方針転換や事故を背景に、大阪市は管路更新の大幅な前倒しを打ち出した。更新や耐震化には長期的な財源と人員が必要になる。
また、南海トラフ巨大地震への備えでは、海抜ゼロメートル地帯を抱える大阪市において、長期湛水やインフラ停止への対応は依然として大きな課題だ。
さらに、大阪市財政も、中長期的な収支不足や基金活用を前提とする見通しが示される中、将来の行政資源配分はより厳しくなる可能性がある。
人口減少や社会保障費、老朽インフラ更新などを考えれば、行政資源の配分は今後さらに厳しくなる可能性がある。
そのほかにも、防災、学校再編、地域経済など、行政が向き合うべき課題は積み重なっている。
限られた行政資源を、いま何に使うのか。
今回の163票差が意味するものを、現時点で断定することはできない。
ただ、西区という、これまで維新や都構想への支持が比較的強かった地域で示された結果は、「行政は限られた時間と資源を何に使うべきか」という問いを改めて浮かび上がらせているのかもしれない。
その問いは、「制度を変えるか」ではなく、「限られた行政資源を、いま何に使うべきか」という形で、市民の間に静かに現れ始めているのかもしれない。
22日、市会では法定協議会設置議案が財政総務委員会で審議される。
大阪市行政は、何を優先しようとしているのか。そして、その議論は何を前提に、どのような言葉で進められようとしているのか。
29日の本会議では、法定協議会設置議案の可否が示される見通しだ。
「副首都・大阪にふさわしい大都市制度協議会」という名称は、何を前景化し、何を見えにくくするのか。
そして大阪市行政は、限られた資源を何に優先配分しようとしているのか。市会で示される優先順位を追いたい。
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