195%増えた廃棄物を「成功」と呼べるのか

コラム
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大阪・関西万博が掲げた「持続可能性」を問う❶

今年4月末に、「SDGs万博市民アクション」という市民団体が、"大阪・関西万博「市民からの持続可能性評価書」"というレポートを発行したことを知った。3月には、国際博覧会協会が、「2025年日本国際博覧会事後調査報告書」として大阪・関西万博会期中の環境影響に関する報告書を掲載している。
博覧会協会の報告書によれば、建設工事で発生した廃棄物は約29,445トン。当初予測15,067トンの約195%に達している。一方、報告書は「建設工事廃棄物の再資源化率約92%」としている。
しかも協会は、建設工事廃棄物の再資源化率約92%を成果として示している。
この二つの数字が、同じ「環境配慮」の中で並べられていることをどう見るべきか。
「環境配慮」として並べられた二つの数字

建設廃棄物発生量
 15,067t(予測)→29,445t(実績・195%)
建設工事廃棄物再資源化率
 約92%

発生量の超過と高い再資源化率は、どう評価されるべきか。

出典:2025年日本国際博覧会事後調査報告書
問題は、後者が前者を打ち消すように読まされかねないことだ。

大量の廃棄物が発生しても、リサイクル率が高ければ「成功」と言えるのか。
環境に対する影響という観点からすれば、疑問はそこにある。

195%増を、なぜ「問題」として扱わないのか

本来、まず検証されるべきは、なぜ予測を大きく超える廃棄物が生じたのか、ではないだろうか。
工期圧縮や設計変更、仮設動線整備、しかも「間に合わないのではないか」と大きく報道されていた工期など、背景には複合要因があるはずだ。
ところが報告書で前面に出るのは、「どれだけ出たか」より、「どれだけ再資源化したか」とされている点。廃棄物処理場がひっ迫している大阪市などの大都市にとって、発生抑制こそが重要だったはず。
しかし、発生抑制より後処理によって説明するなら、それは循環型社会の評価というより、廃棄物管理の説明に近い。しかも発生量は、ほぼ倍増という結果ではないか。

SDGs万博を掲げてきた事業として、これはほんとうに十分なのだろうか。
ここに、単なる廃棄物問題を超える違和感がある。

「成功」の物差しはどこにあるのか

さらに気になるのは、こうした大量発生が、評価の中で「問題」として現れにくい構造だ。環境影響評価や事後調査報告書では、多くの項目が「環境保全目標を満足するか」という形で整理される。

基準を超えなければよい。
予測の範囲ならよい。
対策を講じていればよい。


そうした評価の枠組みでは、環境への負荷そのものより、「管理されていること」が前面に出やすい。だとすれば問われるべきは、廃棄物の量だけではない。
その「成功」を測る物差しそのものではないか。

これは入口にすぎない

実は、今回の万博の環境影響についての疑問は廃棄物だけにとどまらない。
騒音や低周波音、地球環境、生態系など、万博の環境評価には他にも検証すべき論点がある。しかも、協会の自己評価だけでなく、

行政アセスによる評価
市民による独立評価


という、別の物差しもある。

万博の環境影響をどう評価するのか。その尺度は、一つではない。
本連載では、この「三つの物差し」で大阪・関西万博の環境評価を測り直してみたい。
まず今回、195%という数字が投げかけている問いから始めようと思う。
「未来社会」を掲げた万博の環境評価は、ほんとうに未来型だったのか。
そこから検証する。
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