第1回・第2回では、防災公園の定義と枚方市の現状の課題を整理しました。今回はこれまでの課題を解決し、かつ経済的にも持続可能な「次世代型防災都市モデル」の具体的なプランを提案します。
1. 「集約と効率化」による持続可能なまちづくり
今回の再整備事業は、単なる建物の建て替えではなく、「都市の効率化」と「地域課題の解決」を同時に目指すものであるべきです。
(1)コンパクトシティの推進
少子高齢化社会を見据え、「コンパクトシティ」への転換が推奨されています。駅を中心に公共交通を軸とした暮らしは、高齢者や子育て世代の移動を楽にし、車の利用が減ることで環境への負荷も抑えられます。
(2)物理的な集約が生む利便性と経済性
公共施設を近くにまとめることで、駐車場の共有が可能になります。平日は公共施設の利用者が使い、休日は公園のイベントや近隣の買い物客が利用する。駅前の立地を活かして効率よく運用することで、収益化が期待できます。
(3)将来のメンテナンスコストの削減
バラバラに点在している公共機能を集約することは、二重の投資を抑えるだけでなく、将来的なインフラの維持管理コストを減らすことに直結します。また、高度なインフラを集中させることで、将来のデジタル基盤としても管理しやすくなります。
(4)災害時における集約の価値
物理的な距離の近さは、災害時に「関係者が歩いて対策本部に集まれる」という確実な参集を可能にし、職員やボランティアの移動負担も軽減されます。また、一般の避難場所(防災公園)と、配慮が必要な人のための福祉避難所(交流棟)が隣接していれば、家族がバラバラにならずに避難生活を送れる安心感にも繋がります。

2. 土地の整理による公有地の有効活用
現在の公有地を等価交換で整理すれば、まとまった土地を確保することができます。差額の精算金は補助金を活用すれば、市の負担を抑えつつ、より合理的な配置が可能になります。

3. 防災拠点として合理的なエリア配置
機能を適切に分担することで、平時も災害時も使いやすいエリアを構築します。
• ④街区(新庁舎・交流棟・防災公園・立体駐車場)
災害対策の中枢となる「新庁舎」と、避難者を受け入れる「交流棟・防災公園」を一体整備。新庁舎が備える耐震性能や高度な設備を防災公園と兼用することで、コストをかけずに質の高い避難場所が実現します。対策本部から避難者の様子が目視で確認できるため、状況把握も迅速に行えます。
• ⑤街区(消防署・訓練施設・物資集積場・土木部門・災害車両駐車場)
緊急交通路からのアクセスしやすい⑤街区に、現場で動く実働部門を集約。防災関連業務の連携効率を高め、耐荷重仕様の駐車場を共有できるため合理的です。

4. 防災機能をイベントに活用。賑わいと安全の両立
都市部における防災は、限られた空間をいかに有効に使うかが鍵となります。防災機能を「イベント資源」として活用する、新しい都市防災のスタイルを提案します。
(1)イベント会場としての魅力
災害時に必要な大人数対応は、イベント時にも求められる機能です。避難場所となる広場や「常設の大人数対応水洗トイレ」、災害時に情報を伝える「大型ビジョン」は、駅前の立地を活かせば、魅力的なイベント会場になります。スポーツ観戦、音楽ライブ、フェスなどで収益化も見込めます。
(2)メンテナンスと訓練の日常化
定期的にイベントを開催することで、設備は適切にメンテナンスされ、常に「動く状態」が維持されます。また、大人数対応に慣れることは、災害時の際のスムーズな誘導にも繋がります。
(3)周辺施設との連携
隣接する防災エリアで行われる消防訓練や、土木部署が所有する「働く車」の展示などは、子どもたちを惹きつける素晴らしいコンテンツになります。街を守る活動そのものが、街の賑わいを生む資源に変わります。
(4)自立した都市経営
イベント収益を維持管理費に充てることで、行政の財政負担を抑えつつ、質の高い空間を維持できます。防災設備として補助金を利用して整備し、平時は多目的に活用する。これが、最も合理的な仕組みです。

日常・災害時・イベントを繋ぐ「公園の多機能化」
「フェーズフリー」という、日常(いつも)と非常時(もしも)の境界をなくす考え方に基づき、公園を多機能化することの重要性を考えます。
(1)「いつもの公園」が命を守る安全基地に
子どもからお年寄りまで、日常的に親しんでいる公園が避難場所であれば、いざという時も迷わず避難できます。電話が通じない災害時でも家族で「公園に集合」と決めておけば安心です。
(2)自然に備えができている状態
特別な意識をせずとも、公園で遊んだりイベントを楽しんだりしているうちに、自然と防災機能に触れている。この「構えない防災」こそが、都市に暮らす人々にとって最も安全で、安心できるまちの姿ではないでしょうか。
(3)都市防災の「適正」を追求した新しいスタイル
これまでの防災設備は、災害時に備えて最低限を揃えておくだけの「眠らせる資産」になりがちでした。しかし、災害時に求められる大人数対応はイベントに求められる機能と同じ。都市の避難場所として相応しいのは「優れたイベント会場」です。駅前の「人が集まる力」を活かして日常的な賑わいを作り、その賑わいそのものをいざという時の「守り」へと転換していく。これが、これからの時代に求められる新しい都市防災のあり方ではないかと考えています。

第3回のまとめ
集約と効率化、そして多機能化。これらを組み合わせることで、平時は便利で活気があり、災害時には命を守る「次世代防災都市」が実現します。防災力を高めることは、そのまま街の魅力を高めることになります。
最終回となる第4回では、これらのハード面を支えるための「地域防災計画の見直し」と、住民の皆さんと共に進めるこれからの防災についてお話しします。


