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ucoが考える都市像とくらし
ucoでは、「進化する自治を構想する」をテーマに、約半年間にわたってさまざまなレポートや講座をお送りしてきました。 「進化する自治」とは何かについて、市民と行政の対等な関係づくりや、行政の事業について市民の関与をより深くすることはできないかなどを模索しています。 政策に対して市民が関与できる現在の仕組みを学ぶことも、またそれを駆使することも重要であり、手法の一つです。一方で、現在の枠組みにとらわれず、市民の要望を様ざまな方法で伝え、くらしや地域のあり方、また事業のあり方を変えていくことも手法として考えられます。 しかし、「進化する自治」を手法や枠組みの問題としてではなく、住まいたい、くらしたい都市像をもとに考えていく方法は取れないかと考えました。地域の課題や、世界的な課題について、行政として取り組んでほしい課題は、数多くあります。現代に生きる都市としての、一つの理想像を提示し、そこから説き起こされる課題の提起、その解決について考える試み。そうしたことで、現在の行政との相違やズレを明確にし、「自治」としてどう実現できるのかを思考する。 つまり、具体的な事例をもって「進化する自治」を多くの市民と共に考え、共有したいと思います。
「進化する自治」から考える大阪の未来
ucoが「進化する自治を構想する」をテーマとし、さまざまなレポートや講座を行う理由の一つは、現在の大阪の行政の方向性や事業のあり方、進め方に大いなる疑問を持っており、少しずつでも変えていきたいということがあります。 これをもって政治的であると捉えられるかもしれません。大きな枠組みの中では政治にかかわることですが、具体的な事例の一つ一つは、地域の課題であり、市民の安全・安心な暮らしであり、世界的な課題にもつながっていることです。 そうした課題を積み上げていくことから考えた「都市像」がビジョン50<ビジョン・フィフティ>です。
ビジョン50は、次の2つの目標を掲げています。
2050年カーボンニュートラルを実現する政策・事業転換
2020年に政府が「2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言」。「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」こととしている。 日本政府の表明を前提とし、パリ協定で示された実質的な目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて1.5度以内に抑える」ことの実現に向けた政策・事業転換を促す。 2050年温室効果ガスの排出量ゼロを目指すための電力課題、産業課題解決に向け、5年ごとの削減目標の提示と更新の実施要請。
大阪府をはじめ府下28市町村で「2050年ゼロカーボンシティ」を表明しています。大阪市は、2020年12月9日にが「2050ゼロカーボンをめざす」ことを表明。主な取組・施策として、「2020年度中に策定する大阪市地球温暖化対策実行計画〔区域施策編〕において、2030年度目標の達成に向けた着実な取組みと、2050年の大阪の成長につながる脱炭素社会「ゼロ カーボン おおさか」の実現に向けた取組みの方向性について明記する。」を掲げている。また、2022年10月に策定された「大阪市地球温暖化対策実行計画〔区域施策編〕(改定計画)」を発表。ここでは、「ゼロカーボン おおさか」を形成する5つの「まち」と施策として、「脱炭素なエネルギーで暮らすまち」、「脱炭素マインドに満ち溢れ、脱炭素な行動が浸透したまち」、「気候変動への備えがあるゆるぎないまち」などを挙げているが、いずれも、施策や項目などを掲げてはいるが、数値としての削減目標はなく、実現性が乏しい。 この計画では、「2030(令和12)年度の温室効果ガス削減目標を2013(平成25)年度比30パーセント削減から50パーセント削減に引き上げ」るとしているが、それぞれの項目でどのくらいの削減が可能かなどは示されていない。大阪市地球温暖化対策実行計画〔区域施策編〕(改定計画)
50年後、国際的トップシティを実現する政策・事業転換
この目標の実現の先にあるのは、「持続的社会を形成する文化都市=大阪」です。 気候変動に対する施策で世界のトップ水準であること。 文化遺産、文化的資産の保護と継承について世界のトップ水準であること。 「公共」資産、資源に対する市民協働が世界のトップ水準であること。 緑の都市として世界のトップ水準であること。
ビジョン50のコアテーマ
ビジョン50では、4つのコアテーマのもとに様ざまな行政課題を提言します。
- 気候危機(気候変動)
- エネルギー
- 防災
- 食糧危機(飢餓)
ucoは2024年、ビジョン50で掲げる4つのテーマから説き起こされる具体的な地域課題を取り上げながら、進化する自治を構想します。
気候危機
- 温暖化で影響されること
- サスティナビリティな社会の実現
- 2050年までに100%循環型経済への転換
- プラスチック廃棄ゼロ
- GX経済振興
- 循環型経済システム推進
- 農作物の転換や種子開発
- 食料、住まい、命
- EU、UKの気候政策
- 科学検証型緑化計画
- 熱中症の課題解決
防災
- 市民を守る災害防衛文化
- 地域文化を磨く
- 地域のスクラム化
- 耕作放棄地の活用
- 神戸大学 都市安全研究センター
- 大阪大学先導的学際研究機構「新たな防災」を軸とした命を大切にする未来社会研究部門
- 地域防災マップのアップデート
- 防災アプリの双方向化
- 市域1/3の浸水問題(-4m地帯)
- 備蓄等防災システムの耐用日数
- 避難モデルの多様化とアップデート
- 社会的弱者と防災、避難シミュレーション
- 最新事例に学ぶ
エネルギー
- 地産、地消の多様なエネルギー転換
- 再生エネルギーの地域最適化
- 電力のマイクログリッドの実現
- エネルギー分別(新規と廃棄)
- 現在の電力供給の問題点
- 次世代原子炉
- 夢のエネルギーとその課題
- 充電池、蓄電池の課題
- 省エネのそらどまの家
- 内部経済と外部不経済
- エネルギー問題とごみ問題
- ごみ焼却発電の課題
食糧危機
- 消費地から自給都市への転換
- 耕作放棄地の転用
- 自治体×NPO連携農業法人
- 近畿圏飢餓自衛協定構想(食糧自給協定構想)
- 紛争と食糧(自給なくして防衛ならず)
- 食料となる植物と緑化
- 食料関係都市の複合化
- 地産地消コミュニティの可能性
- 廃棄ゼロエコシステム