消費税問題の“原因”の構造

コラム
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消費税の重税感がひしひしと迫り、家計を圧迫している。
そう感じる家庭は少なくないだろう。しかし、中小事業者は更に困窮している。

赤字でも納税が発生し、価格転嫁できない中小企業が圧迫されている。
「消費税という制度は理論上中立だが、結果は偏っている」という現実に直面している。
一方で大企業の内部留保は拡大し、輸出還付金として消費税分を受け取っている行為は制度上正当とされる。
この構図に怒りを覚えるのは自然である。

では、なぜこうなったのか。
原因から整理してみよう。

原因① グローバル資本移動を前提にした税体系

1990年代以降、資本は国境を越えて自由に移動できるようになった。法人税が高ければ企業は拠点を移す。各国は法人税率を引き下げ競争に入った。

その結果、国家は「動きやすい税源」よりも「動きにくい税源」に依存するようになる。
動きにくいものとは何か。

消費である。

消費は国内に残る。だから消費税は安定財源となる。

この構造的圧力が、税体系の重心を法人税から消費税へと移動させた。
これは日本固有の現象ではなく、OECD諸国全体の傾向である。

つまり第一の原因は、グローバル経済構造の変化である。

原因② 「中立税制」への信仰

1990年代以降、経済政策の思想は「市場に任せる」「中立であるべき」という方向に傾いた。税は産業政策ではなく、歪みを作らないことが良いとされた。

消費税はその代表格である。
理論上は中立で、企業活動に直接干渉しない。

しかしこの思想は、重大な前提を置いている。

市場が対等であること。

価格決定力が均衡していること。

現実はそうではなかった。
下請け構造、寡占化、交渉力の差。地盤は傾いていた。

中立税制は、傾いた地盤では中立に作用しない。
それでも思想は維持された。

ここに第二の原因がある。
市場の力関係を是正しないまま中立税制を拡大したこと。
これは力のある方が勝つ、単なる大企業優先政策と言える。

原因③ 財政危機への恐怖

バブル崩壊以降、日本は長期停滞と財政赤字を抱えた。国債残高は増大し、高齢化が進行した。

政策の優先順位は「成長」よりも「安定」へと傾く。

消費税は景気変動の影響を受けにくい。
社会保障財源として安定する。

国は国で、国民ではなく、システム側=財務省の安定を観ている。

この「安定最優先」の選択が、活力への配慮を後回しにした。
それが第三の原因である。

原因④ 価格転嫁を強制しなかった政治

理論上、消費税は価格転嫁できる前提で設計されている。しかし現実には転嫁は完全ではない。

なぜ是正されなかったのか。

政治は価格決定に直接介入することを避けてきた。
市場原理を尊重する姿勢である。

しかしその結果、力の弱い側に負担が残った。

これは制度そのものの悪意ではない。
だが、補正を怠った政治の選択である。

なぜ怠ったまま、現在も放置されているのか。

原因⑤ 労働コストの重さとの複合

人件費は消費税控除の対象にならない。一方、外注費は控除できる。この構造が非正規化を促進した補強要因の一つであることは否定できない。

社会保険料負担の高さ、労働規制の硬直性と合わさり、雇用の二極化を進めた。

消費税は単独犯ではない。
しかし複合的に作用した。

「優先順位の積み重ね」という言い訳

ここまでの原因をまとめる。

  1. グローバル資本移動への適応
  2. 中立税制思想の支配
  3. 財政安定優先の選択
  4. 市場力是正の不十分さ
  5. 労働・社会保障制度との複合

これらが積み重なった結果が、いまの構図である。

「中小企業を切り捨てる意図」が証明されるわけではない。
しかし、「中小企業の活力を最優先に設計した制度ではない」ことは明白である。

国家は安定を選び、競争力を守り、国際整合を優先した。
その過程で、固定された主体に負担が残りやすくなった。

問題はこの選択肢を採ってきた国政の設計思想と優先順位である。

では問う。

これからも国として、安定を守るために活力を削るのか。
それとも活力を守るために設計を変えるのか。

そのタイミングで、現状の延長線上を更に強固にする自民党政権を国民は選択肢た。

<山口 達也>

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