6キロ超えはさすがによろこべない田辺大根
最低気温が10℃を切り、空気も冬らしさを増してきた11月末ごろから、冬野菜の収穫も本格化しはじめた。大根、白菜、キャベツ、蕪など、20種類くらいの種や苗を、毎年8月末から9月にかけて播種や定植する。がここ2~3年は気温がとても高く、特に今年はいつまでたっても気温が下がらなった。10年ほど前、2016年の9月1日朝9時頃の気温は25℃くらいだったが、今年は32℃。種の植え付けには適温があり、だいたい土の温度は30度未満と言われている。今年はいつまでたっても気温が30℃超えで飢えてうまく育つかどうか悩んでいた。発芽するまで毎朝水やりができればいいのだが、畑まで少々時間かかるので、なかなか毎朝が難しい。人参は金時と西洋人参の2種類を8月末に播いたものの、ほとんど発芽しなかったので、9月半ばに播き直した。同じ農園で一緒に育てているほかの人の人参は順調に発芽していたのだが。
この頃ちょうど農家の知り合いと話す機会があったので、種を播く時期について尋ねたとろ、種屋さんが1か月遅らせろと言っているという話を聞いた。それで良い結果が出るかどうかは誰にもわからないし、それぞれの畑の環境によっても違う。農業を生業にしている人にとってこうした気候の変化は、つくづく大変だ。ほんとうに死活問題である。
大根も青首大根と田辺大根の2種類を播いたところ、順調に発芽したのはいいが、成長が異常に早かった。大根は直径5cmくらいの穴に3粒播き成長すれば間引きする。毎年種を播いたのち1か月後くらいに1本仕立てにするのだが、今年は20日ほどで間引きが必要なほど成長していた。一時、葉が地面に広がってしまうなど、萎れたのではないかと思うようなこともあったが、頻繁に水やりをしてからは、順調に育っていた。11月中頃から収穫をはじめ、そこそこの大きさになって安心していたのだが、先週1週間ぶりに収穫に行って驚いた。2~3本ほどはもう収穫しないと大きくなり過ぎると思っていたら、極端に葉が広がっている1本があった。引き抜こうにも、あまりに太く、あまりにもデカかった。田辺大根なので普通はずんぐりした形なのだが、ずんぐりが過ぎている。
収穫した田辺大根 大根の高さ48cm、胴回り42cm、重さ6.8kg
写真がそれなのだが、本体部分だけで高さ48cm、胴回り42cm、重さ6.8kg。大きくなり過ぎて割れてしまっていた。縦に割ってみたところ、特に巣が入っているということはなかったのだが、こうまで成長してしまっては始末に困る。同じ日に青首大根も収穫したが、市場で売っているのものより10cm以上丈もあり、太さもあった。まぁいわゆる規格外というやつだ。
白菜も大根も規格外でも喜んでいいはず、だが・・・
収穫した白菜 高さ42cm、重さ4.8kg 一般的なLサイズより一回り大きい
で、こうした成長し過ぎたものは大根だけでなかった。2週間ほど前に収穫した白菜も大きかったのだが、まだ巻きが柔らかいものを置いていたら、それが大きくなり過ぎていた。これも外葉を取った状態で高さが40cm以上、重さ4.2kg。まぁ昔はこのくらいの大きさのものが市場で売っていた記憶があるのだが、最近はここまでのものは一般市場で見ることは少なくなっている。大根もそうなのが、同じ畝の中でも、大きなっているものもあれば、まだ発育中のものもあるのだが、相対的に例年に比べて著しく成長している率が高い。11月後半になって気温は例年並みになってきたように思うが、10月いっぱいが高温で推移してきたことも影響しているかと思われる。
直径15cmほどに成長した蕪。 天王寺蕪が土地の特性で変異したという野沢菜のように茎が太い
今年は蕪も大きくしたいと思い、大根と同じように間隔をあけてまいたところ、野沢菜のように太い茎の蕪ができている。植え方だけでなく、成長期に気温が高かったことも影響していると思われる。自家消費するだけの趣味の農業なので大きくなろうが、少々育ちが悪かろうが構いはしない。しかし、いずれも一般市場では規格外野菜だ。白菜にしても現代の少人数の家族にとっては、大きすぎればいくら割安でも触手は伸びないだろうと思われる。夏から秋にかけてが高温だったことも関係しているのだろう、冬野菜の高騰が伝えられている。消費者にとって困った状況だろうけれども、生産農家にとっても喜ばしい状況ではないだろう。
利用している農園の畝。手前は生育中のブロッコリーやカリフラワー
年末から年明けにかけて、ブロッコリーやカリフラワーなどの収穫が始まるのだが、どんな生育をしてくれるのか不安は尽きない。昨年は実のならないものが多く、収穫は少なかったからだ。畑は美しい緑でおおわれる時期になったが、今年はどうなるだろうか。