枚方リデザイン 第3回

進化する自治 vision50
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再開発より先に設計すべきは「合意形成の構造」

枚方の再開発議論が迷走している理由は、設計案の問題、移転案の不合理も内在しているが、本質はもっと手前にある。

決め方が設計されていない。

これが最大の問題である。

私たちは第1回・第2回と、
駅前か、市役所か、タワーマンションか、
という“中身”の議論をしてきた。

しかし、その前に問うべきことがある。

そもそも、枚方はどうやって都市の未来を決めるのか。

ここを設計しなければ、
どんな案も必ず反発に遭い、
どんな説明会も消耗戦になる。

枚方市駅周辺再整備と新庁舎整備に関するこれまでの経緯について | 枚方市ホームページ

説明会は「合意形成」ではない

多くの自治体で行われるのは、説明会である。

行政が案を提示し、
市民が質問し、
一部が反対し、
最後に「ご意見として承ります」となる。

これは情報提供であって、
合意形成ではない。

合意形成とは、

  • 選択肢が複数提示され
  • それぞれのメリット・デメリットが共有され
  • 何を諦めるのかが明示され
  • 判断の理由が公開される

プロセスである。

枚方で不足しているのは、
案の数ではなく、選択の透明性である。

なぜ市民は納得できないのか

市役所移転案が支持されないのは、
場所が悪いからとは限らない。

多くの市民はこう感じている。

  • なぜこの案なのかが見えない
  • 他の選択肢を比較していないのではないか
  • すでに決まっているのではないか
  • そもそもわからないので興味も持てない

つまり、疑念の正体は内容ではなく、
プロセスへの不明と不信である。

プロセスが見えなければ、
どんな合理案も疑われる。

これは枚方だけの問題ではない。
人口減少期の全国の都市に共通する症状である。

枚方市駅周辺再整備と新庁舎整備に関するこれまでの経緯について | 枚方市ホームページ

“縮小”を扱う人口減少時代の合意形成

高度成長期の都市計画は、
拡大を分配する議論であった。

しかしいまは違う。

  • 何を統合するか
  • 何を減らすか
  • 何を残すか

を決めなければならない。

これは感情的に難しい。

自分の地域が弱まるかもしれない。
公共施設が統合されるかもしれない。
利便性が変わるかもしれない。

だからこそ、決め方が極めて重要になる。

枚方に必要な三段階プロセス

ここで、枚方型の合意形成モデルを提示したい。

第一段階|選択肢の可視化

・駅前集中型
・多核連結型
・行政核再強化型

を、正式な政策選択肢として並列に提示する。

「この案です」ではなく、
「この三案があります」と示す。

第二段階|評価軸の共有

・財政負担
・歩行利便性
・高齢者アクセス
・商業波及効果
・30年後の維持費

といった評価基準を公開し、
点数化・比較する。

ここで初めて、議論は感情から構造へ移る。

第三段階|理由を公開した決定

最終的にどれを選んでもよい。

重要なのは、

なぜそれを選び、なぜ他を選ばなかったか

を文章として残すことである。

これがなければ、
都市は何度も同じ議論を繰り返す。

市民参加とは「意見を聞くこと」ではない

市民参加という言葉は便利である。

だが多くの場合、それは「意見収集」に終わる。

本当に必要なのは、

  • 情報の非対称性を減らすこと
  • 財政データを開示すること
  • 図面やシミュレーションを共有すること

である。

市民が判断できる材料を持たなければ、
参加は成立しない。

都市の未来は“結果”より“過程”で決まる

再開発が成功するかどうかは、
建物が完成した瞬間では決まらない。

その前の過程で、
どれだけ納得が蓄積されたかで決まる。

納得はスローガンでは生まれない。
透明性と比較可能性から生まれる。

枚方は、まだ間に合う。

条例が完全に成立しきっていない今こそ、
決め方を設計し直す余地がある。

進化する自治へ

「進化する自治」とは、
完璧な案をつくることではない。

間違えないことでもない。

修正可能な構造を持つことである。

・途中で軌道修正できる
・評価を更新できる
・市民が再参加できる

この柔軟性こそが、
人口減少時代の自治の条件である。

枚方の再開発問題は、
空間設計だけでは解けない。

本当に設計すべきなのは、
合意形成の構造である。

決め方を変えなければ、
どんな都市核案も再び対立を生む。

次回、第4回では、
この合意形成モデルと空間設計を統合し、
「枚方モデル」として具体的なロードマップを試みる。

<山口 達也>

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