特区民泊の申請受付停止を発表後も申請数は増加の一途
昨年、大阪府下で運営されている民泊で近隣住民とのトラブルや大阪府・大阪市への苦情が相次ぎ、報道でもクローズアップされた「民泊問題」。大阪市は、昨年11月28日付で「特区民泊」の申請受付を当面停止すると発表した。(発表は12月1日) 実際の申請停止日は今年5月29日。現在も変わりなく申請は受け付けているし、駆け込み申請も月を追うごとに増えていっているのが実情だ。
2026年1月2日付の産経webニュースによれば、大阪市への特区民泊の新規申請は2025年11月末時点で2531件と過去最多に。2024年の1800件をゆうに上回ったという。問題が報道され始めた夏ごろまでは、毎月160~240件程度だった申請数は、9月は270件、10月は336件、11月は289件と以前に比べて増加傾向が続いている。
<独自>大阪市の特区民泊申請件数、令和7年過去最多に 受理停止前に「駆け込み申請」か
2026/1/2 産経新聞

停止発表から半年間の猶予を事業者に与えた大阪市
「特区民泊」の申請受付を当面停止すると発表したが、申請が今も続いているのは、実際の停止日を今年5月29日としているためだ。その理由として市は、「市民の声」に寄せられた「特区民泊の新規受付即時停止」の求めに対して次のように回答している。
「特区民泊の新規受付の終了にあたっては、弁護士等からの「一定の経過措置期間が必要」との意見を踏まえ、現在申請準備を進めている事業者への影響に配慮するとともに、過度な経過措置期間が政策効果を損なう可能性があることも考慮し、内閣総理大臣による区域計画変更案の認定から6か月程度の経過措置期間を確保することが妥当と考えています。」
「過度な経過措置は政策効果を損なう」としながら、6か月という長期を選択した点について、大阪市の説明は合理性を欠いている。同じく受付停止をした八尾市は、11月28日付で受付を終了している。明らかに事業者に猶予を持たせ、できるだけ多くの事業者を呼び込むための方針と取られても仕方ないのではないか。市民の声でも「即時停止」を求める声は複数回出ている。地域住民からも「今すぐやめてほしい」という声は多い。
全国の特区民泊の9割以上が大阪府下、そのうち99%が大阪市の現実
内閣府が2025年11月に公開している「特区民泊の実績」によれば、
全国合計:8,179施設/22,286居室
大阪府下:52施設/78居室
大阪市:7,723施設/21,308居室
となっており、全国の施設数の95%が大阪府に集中しており、大阪市は全国比でも94.4%と大阪のほとんどの施設が大阪市内にある。これを居室数で比較すると、96%が大阪府が占めており、そのうちの99.6%、つまりほぼ100%が大阪市に集中していることがわかる。
出典:内閣府 特区民泊の実績(令和7年11月30日時点)
市は頻発するトラブルを認識はするが監督できていない
内閣府の統計が示す通り、民泊の件数がそのままトラブル件数の増加につながっている。報道でも地域の声として紹介されているが、大阪市も直接市民の声は聞いている。
大阪市の民泊担当部署は、経済戦略局 観光部 観光課が窓口となっている。観光課では、「住民からの苦情等があった場合は、事業者が速やかに対応しなければならない旨を定めております。また、大阪市へ、住民からのお申し出があった場合は、保健所の旅館業指導グループにおいて、事業者に対する指導・改善命令などを行っております。」としている。しかし、何度も市に通報しても改まらない事例が多くある。「市民の声」にも市民からの苦情や対処方法についての意見は寄せられている。
例えば以下のような内容が公開されている。
① 騒音・生活環境
深夜・早朝の話し声、スーツケース音、車両出入り、路上滞留
住民からの声「日常生活に支障」「我慢している」「迷惑」
② ごみ・マナー違反
分別違反、放置ごみ、住民負担
住民からの声「後始末を住民がしている」「管理されていない」
③ 管理不在・連絡不能
管理者不明、連絡先未掲示、緊急時不安
住民からの声「連絡が取れない」「不安」
④ 治安・心理的不安
出入りが多く不安、防犯面の懸念
住民からの声「安心して暮らせない」
⑤ 規制強化・制度見直し要望
新規受付終了が遅い、住居地域での是非
住民からの声「遅すぎる」「もっと厳しく」
⑥ 認定取消・営業停止要望
特定施設の認定を取り消してほしい
住民からの声「認可を取り消すべき」
こうした声に対し、大阪市は、ガイドラインや条例などを示して、指導を行うとしている。しかしこうした苦情が繰り返し寄せられるのはなぜか。
それは、ガイドラインや運用が抜け穴ともいえる緩い管理・監督しか示されていないからだ。
「施設の周辺地域の住民に対する説明」には明確な規制や罰則はない

「特定認定申請を行う前までに説明会を行ってください。」との記載はあるがその範囲に記載もなく、規定も設けられていない。
「説明対象範囲外であっても町会長等を説明対象に含めることが、事業を円滑に進めるうえで大変有用となります。」とあるが強制ではない。
「説明会の開催は、施設の周辺地域の住民からの問合せ等があるかを見極めるための
期間(説明会の開催案内を掲示してから1週間程度)を確保することが望ましいで
す。」とはあるが、「望ましい」としか記載がないため、ある地域では前日に配布して実施した事例も報告されている。
ガイドラインに違反したとしても罰則はない。
ごみ対策については、すべてが努力義務

ゴミについては、法令やガイドラインなどが示されている。廃棄物処理業者との契約や廃棄物の区分、集積・保管方法など、すべてにおいて「講じてください」、「しなければなりません」という言い方に終始し、強制ではなく事業者まかせになっている。ここでも違反したからと言って罰則があるわけではない。
違反や違法民泊の認定取り消しがゼロ

数多くの苦情や市販状態の民泊が地域で確認されているにもかかわらず、これまで大阪市において認定取り消しは1件もない。ガイドラインには、業務改善命令や認定取り消しについての記載はある。記載はあるが0件だ。議会においてこのことが議員からただされたときの大阪市の回答が、いかに緩いガイドラインや法令かがよくわかる。
「現行法令において、事業者の責務である認定要件が具体的ではないため、法令違反として立証が困難であり、不利益処分に至っていない。」
これでは、初めから認定要件をあいまいに規定することで、認定取り消しが発生しないよう抑制しているともいえる。
このほか事業停止などについても同様の規定が示されるなど、すべてが事業者にとっては、違反し放題の状況を作り出している状況となっている。
民泊問題については、「特区民泊」が一時的に申請停止となっても、すでに認可している施設もあれば、5月までは申請が増え続ける。しかも特区民泊の新規申請は停止されても「新法民泊」という年間宿泊数の規定があるなど多少規制が強い民泊については、申請の停止はしていない。今後も住宅地域での民泊増加が続けば、民泊問題がまだまだ終わることが無い。今後ucoでは、市民×市政の課題として、民泊問題についてのレポートを行っていく。
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