2025年開催の関西万博ならびに、大阪IRカジノの予定地となっている人工島「夢洲」がクローズアップされています。UCOでは昨年来、夢洲に集客施設が設置されることの危険性や、万博誘致、カジノ誘致を見込んだ開発整備費用によって大阪市の財政が破綻するのではないか、との危惧を紹介してきました。
昨年12月に松井市長がIRカジノ予定地の土壌汚染や液状化対策のためとして、約790億円の費用を市が負担するとの発言から、その危惧が現実のものとなってきました。
松井市長は、「これだけ問題がある土地なんだとびっくりしている。これからにぎわいの拠点にするので、安全な土地を提供するのが市の責任だ」などと発言しているが、夢洲が埋立による人工島で、商業施設には向かない土地であることは、以前から明確になっていたことで、いまさら「びっくりしている」とはこっちがびっくりしてしまった。
さてこの夢洲をめぐっては、現在、国際博覧会協会が開催に向けた環境アセスメントの手続きを進めている。この環境アセスメントの手続きについて、2月2日(2022年)、夢洲の都市計画変更を考える市民懇談会(略称:夢洲懇談会)による記者会見が行われました。
夢洲懇談会は、2019年に大阪市が夢洲の都市計画を変更し、工業地域と準工業地域から商業地域として利用できるように用途変更を行ったことを機に結成された個人、市民活動団体などからなるネットワーク。冒頭に紹介した790億円もの土壌汚染や液状化対策費が必要となったのは、この用途変更によって、夢洲を観光誘致の拠点としたところから始まったボタンの掛け違えにあります。つまり、何をいまさら「びっくり」やねん、ということ。
この記者会見は、いま問題になっている土壌汚染や液状化対策をも含む環境アセスメントの実施内容にかかわるもので、いま環境アセスメントの手続きのボールは大阪市にあります。国際博覧会協会から提出された準備書(環境アセスメントの実施内容)に対して、2月中旬に大阪市長から意見書が協会に対して提示されます。
夢洲懇談会は、この市長意見によって、夢洲が万博開催地としてふさわしいかどうかを左右する重要な局面ととらえています。
さて、夢洲懇談会が訴えたのは次の3点。
未来社会の実験場である万博。SDGs達成成果を測る環境アセス準備書において、市長が
- 専門委員会の指摘事項を万博協会に履行することを求めること
- 万博事業の進捗に合わせてフォローアップ(事後調査)し、的確に指導すること。
・夢洲の土壌汚染・液状化対策790億円の大阪市負担問題~リスク管理会議から見るコスト増と地元負担膨張の構図
・不透明なIRカジノの契約で起こるISDS(投資家対国家の紛争処理条項)の「損害賠償リスク」
環境アセスメントから伺える夢洲が集客施設の立地として適正かどうかという問題と共に、IRカジノによって将来的に大阪市、大阪市民が大きな負の遺産を抱えかねない懸念が示されています。
ぜひご覧ください。