大阪市政

1500億円に上る市立高校の財産無償譲渡差し止め請求 第3回報告会

  • 閲覧数:649
取材先
DKビル会議室
協力
大阪市民の財産を守る会

今年2022年4月1日をもって大阪市立高校を廃止し、大阪府に移管。同時に議会決議もなく、各学校の土地建物を含む財産を無償で府に譲渡するという市長の暴挙に対し、市民が差し止めを請求しているこの事件。
1月17日に第3回口頭弁論が行われ、この裁判で何が争われているのか、その詳細が確認されました。今回も大阪地裁大法廷で開かれ、傍聴を求める市民が50数名駆け付け、抽選により、41名が傍聴しました。

今回は、裁判の直後に行われた報告会(大阪市民の財産を守る会主催)の内容をもとに構成、記事化しました。報告会の全内容を音声でも掲載しています。

これまで、11月15日、12月17日と2回の口頭弁論が行われ、原告、被告それぞれの書面で訴状に対する反論、再反論を積み重ねてきました。今回開かれた口頭弁論では、この裁判で原告が求めている「市立高校の財産無償譲渡差し止め請求」に対して原告、被告の主張が対立する争点について整理が行われました。
報告会では、荒木弁護士より、これまでのいきさつについての説明がありました。これまでに原告、被告双方から提出された準備書面をもとに、1月13日に裁判所と原告代理人、被告代理人によるインターネットを介した打合せが約50分間開かれていました。17日の法廷では、この打合せを踏まえて行われたものであるという説明がありました。

訴訟の本質は「大阪市が4月に行おうとしている市立高校の財産を無償譲渡しようとしているのを止める」ことにあります。これまでは大阪市が大阪府に対してどのようなことをしようとしているのかを詰めてきました。具体的には、大阪市の契約管財局長が、大阪府に無償譲渡する契約を締結するので、契約管財局長が契約しようとするのを止める、ということを確認しました。
ただ、簿価で1,500億円もの財産を契約管財局長単独で契約できるのかという疑問を持たれると思います。われわれも本質的には、市長であっても単独でそのような権限を持っているとは思っていません。裁判長もそれを分かりながら、できるだけ簡潔に、「契約しようとするのを止める」手段として、契約管財局長が契約締結をするということが明確になったので、契約管財局長が契約しようとするのを止めるということが三者で確認されました。
これからの予定としては、1月24日までにすべての書面を出し切り、1月27日にインターネットを介して実質的な打ち合わせを行ったうえで、1月28日最後の口頭弁論を行い、3月末くらいに判決という流れで、その期日は1月28日に示されます。

次に豊永弁護士より、この裁判が通常の行政訴訟のように長い時間をかけて行われるものではなく、差し止め訴訟であることから、非常に速い異例の進行で進んでいることが紹介されました。そのため、法廷でのやり取りは淡々と進んでいるように思われるが、実際には事前の打ち合わせで法律的な視点も含め相当量のやり取りがあったという報告もされました。
また、これまで提出された被告の書面に対する代理人としての印象は、住民監査請求の監査結果の内容から大きく逸脱するものではありませんでした。新しい情報とか、これまでと異なる観点からの反論というものはなかった、ということでした。

この日のポイントは、この訴訟の争点が整理されたということにあります。争点は次の4つ。

  1. 本件譲与ないし本件無償譲渡契約は、地方財政法27条1項及び28条の2に違反する違法な行為に当たるか。
  2. 本件譲与ないし無償譲渡契約は、地方自治法232条の2に違反する違法な行為か。
  3. 本件譲与ないし無償譲渡契約は、地方自治法96条1項6号及び237条2項に違反する違法な行為か。
  4. 本件譲与ないし無償譲渡契約は、大阪市財産条例16条に違反する違法な行為か。

1.は、市立高校の不動産譲渡は大阪府立高校の建設費用を大阪市に負担させたことになるかどうかという点にあります。
地方財政法27条1項は、

都道府県の行う土木その他の建設事業(高等学校の施設の建設事業を除く。)でその区域内の市町村を利するものについては、都道府県は、当該建設事業による受益の限度において、当該市町村に対し、当該建設事業に要する経費の一部を負担させることができる。

というもので、そもそも高等学校の施設の建設事業を除くとなっており、この条項が適用され市が負担することが妥当なのか、この解釈が問題として提起されました。
また、第28条の2は、

地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。

というもので、廃止とされた市立高校の運営が大阪市の事務なのかという点。また、譲与の必要性や妥当性も問題となるといいます。

この法令に関しては、地方財政法4条の5項「割当的寄附金等の禁止」の解釈が問題点としてあるといいます。

地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。

2.は、市立高校の簿価1500億円という巨額な不動産の寄付が、大阪市にメリットがあるのかという点。

地方自治法232条の2、
普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。

としており、公益上の必要がないと寄付できない。原告は、大阪府のメリットではなく大阪市にこそメリットが必要と主張しています。

3.は、大阪市議会は市立高校不動産の無償譲渡を議決したのか、という点。

地方自治法96条1項6号
普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。

237条2項
(財産の管理及び処分)
この法律において「財産」とは、公有財産、物品及び債権並びに基金をいう。
2 第二百三十八条の四第一項の規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。

第二百三十八条の四 行政財産は、次項から第四項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない。

4.は、市立高校の不動産という巨額寄付に大阪市財産条例16条は適用できるのかという点。

大阪市財産条例
第16条 普通財産は、公用又は公共用に供するため特に無償とする必要がある場合に限り、国又は公法人にこれを譲与することができる。

この条例を適用して市長の裁量によって巨額寄付を行うというのは、市長の裁量権を逸脱しているのではないか、という点が争点となります。

以上見てきたように、当初大阪市が説明していた「大阪市財産条例16条で譲渡ができる」としていた点だけでなく、裁判所は、地方自治法、地方財政法上からも看過できない問題があることを示しました。

次回の口頭弁論では、裁判所が求めた書面、また双方からの意見が出そろい、この4つの争点について審議されます。
1月28日(金)11:00 大阪地裁1007法廷
大法廷ではないため、傍聴できる人数が15~20名程度と思われます。傍聴は、抽選となるため、10時20分ころから東入口前で抽選券が配られます。多くの市民に知ってもらうためにも、この記事を拡散していただき、ぜひ傍聴に参加していただきたいと思います。

""

新着記事・番組

  1. カジノ誘致住民投票条例 府議会による否決は住民自治・民主主義軽視

  2. 吉村知事との面会を頑なに拒み続ける府職員 行政の長も職員も府民の声を受け取らない姿勢が問われる

  3. カジノ誘致の賛否をもとめる210,134の府民の声、いよいよ府に請求

  4. 大阪府庁を取り囲む550人超のヒューマンチェーン。住民投票の実現をもとめる府民の声が高まった

  5. 夢洲の圧密沈下による地盤沈下

  6. 3/25地方自治最悪の事例を追認した不当判決。

  7. 「住民の意思を聞け」。大阪カジノ誘致の賛否を問う住民投票を求める署名運動へ市民が立ち上がった。

  8. 本渡章の「古地図でたどる大阪の歴史」~「区」150年の歩み 第2回 番外編 府と区都市の関係について再考

新着ブログ

  1. 本渡章の「古地図でたどる大阪の歴史」~「区」150年の歩み 第4回 大阪港湾エリア 近代港の発展 港区・大正区・此花区の成り立ち

  2. 夢洲の地盤の圧密沈下問題

  3. 子どもがいて、地域があって、学校がある

  4. 大阪に欠けたるもの

  5. 『世界』3 月号特集 2「維新の政治」を読む