自分度を拡げる未来

暮らしの「自分度」を取り戻す挑戦

  • 再生回数:172
自分度を拡げる未来
伴 年昌さん
取材
UCO

コーポラティブハウスから考える生活環境の自他性

伴 年昌[ばん としあき]氏は建築家だが、住まいという家以上に、住まう生活環境が、そこに住まう人にとって自己領域や共用領域がどのように有効作用するかを思考する。いま彼は、コーポラティブハウスのコンセプトを元に生活環境に自己領域を拡げる、「自分度」の高い暮らしのあり方を模索する。
まず、コーポラティブハウスの持つ自分度、自由度について聞いてみよう。


コーポラティブハウスは、入居を希望する人たちが組合を作り、共同で建設を行っていく集合住宅のことを言います。コーポラティブという言葉が「共同の」「組合の」という意味を示している通り、いわば住宅を共同で購入するのです。土地を購入する段階から、共用部分に関する設計や工事に至るまでの工程を共同で行い、住居部分についても自由度が広くなっているのが特徴です。

コーディネーターが主体で、住まい手が参加するという従属型ではなく、参加者=住まい手が主体となって事業を進める仕組みを作っていくというのが私の仕事です。

家は自分で建てなくなった自分がオーナーなのに出来上がったもの買ってしまうようになったという流れの中で、どちらが多いかと言うと、だんだん買うへ、そしてもう家は買うもんやと思ってはる人が多いと思います。
今の時代、特にこの人新世[ひとしんせい]という時代ですけれども、家づくりの分野においても自分で自分の家を作るっていうようなことをやると面白いです。
小鳥でも鳥でも自分の家はちゃんと作ってますし、人間もそういう風にしたらどうでしょうか。


「買う」暮らしに「買わない」暮らしを広げる。

家に限らず、現代は消費社会と表現されるように 「買う」・「売る」を前提とした生活が浸透しています。食料、衣服、教育、医療や様々な文化領域に至るまで、お金で買うことを前提とした社会となっています。しかし100年も遡ることをせずとも、私たちの暮らしは「自前」で作ったり、衣服なども好みの生地で仕立ててもらうことが当たり前の社会がありました。出来合いの調理済み食品や既製服を買うだけの暮らしに慣れると、それはそれで楽であり、時短ということからすると時間を買っているとも言ええます。ただ、その分実は自由度は下がり、モノや環境への係わりは限りなくゼロに近づいていきます。ここには、満足度であったり、幸福度との相関関係にあるのではないかと考えます。


僕自身は「自分度」という考え方をしているのですが、自分度では100%あったら、昔から考えると今は他人の土俵で飯を食う、仕事をする、衣類を得る、食事を得る、住宅もそうなってるということの時代に、家づくりの面白さをぜひ味わってもらおうというのがひとつの見方ですね。
コーポラティブ住宅というのは、人々が参加者となって主体者となって動かすので、人々がエネルギーをバッと出していきます。そういう力も観ていただきたい。

コーポラティブハウス「つなね」


まずは RC +木造が合体したコーポラティブ住宅の「つなね」を見ていただいてます。
約20戸強の家がここに出来上がって、ここを中心に中庭を使いながら、つくっています。ここは建築基準法で言うと、戸建て住宅を20数戸作れる場所に、わざわざ3層の住宅にして20数戸作ったというのは僕の発想じゃなくて、住まい手の発想です。
なぜならコモンがすごく豊かになるからですね。この中庭が建物の間にあるんですけど、これだけの共用庭を23人で持ってるという豊かさを作りたいので、皆さん3階建てに家を重ねあげて広場を広く取ったということになります。

人が暮らす家と人が暮らす家の上下は、コンクリートが音を遮断して強いのが欲しい、人が住む戸と戸の境にもコンクリートが欲しい、というところだけコンクリートにしました。実は窓をどこに作る、壁をどこに作るというレベルのこの外壁部分は木造になっています。屋根も鉄骨でできて、形がどんな形でも取れるようになっています。

1番陽当たりのよい1階に何と集会所があります。
薄暗い集会所ではなくて南の光が颯爽と入って、前に庭が広がる集会所です。ここにちょっと背の高いとこあります。これは屋根を突き抜け自分の空間を広げようということで大きな天井を取っています。

増築したところも出てきます。つまり自由な壁があり、自由な屋根があると自分の家を増築できる。自分のマンションでも増築できるんですよという証明です。

建築基準法的にはもう1回全部出してます。つまり23戸の一旦できた2年前の建築とは違う申請を、増築申請を、23戸全部図面書いてそれで申請する。

コーポラティブハウス「平成長屋MOMO」

長屋というのは道路に、横にぴー、ぴー、ぴーと並んであるのが長いと言われてましたけど、ここの場合は、南の道路から北に抜ける通路があって、それに4戸が繋がってるので平成長屋と呼びました。過去の長屋は、昭和とか明治とか大正にあった長屋は、普通に道路に面してあったんですけど、これは自分の家がつくる通路に面して4戸があるという形ですね。

これは通路です。通路は表の道路から北の道路に抜けています。途中から3階建てのコンクリート造も入ってくるのでこういう通路もあります。この向こうにも同じの隙間あるんですけど駐車場になったり色々していきます。

通路がびーっとあって北の道路から南の道路に抜けるんですけど、ここにうずら梅を埋めて、これが満開になるということですね。
小さな光を受けたこのコモンにある梅の木がですね、みんなここで同じものを食べるという共有感とか、繋がりの意識をものすごくもっているという素晴らしさを感じました。

四つの家を全部見てもらいましょう。
これは、南から北にだんだん高い家になっています。これは一番南側の家ですね。吹き抜けを、2.5mの吹き抜けを作って、ボルダリングを家族全員がするらしくて、2階に上がったら南側の家が見えてまして2階以上には光が入ってるということです。
隣とか子供の声が聞こえる、地表の人々の動きが見える喜び、安心感はすごく大きいです。
こういう形で家が見えてる状態のあの部屋を持つことの豊かさを感じます。

これ1階なんです、コンクリートの基礎が書斎になってる人がおられます。玄関の横がこのコンクリートの書斎で、横を通って上がって行って、階段を上って初めてリビングダイニングに上がっていく。

自分で家を建てる、衣食住において自分でやることというのがすごく楽しくて面白いことだと思いますが、実は社会の動きは反対になってまして。
ここにも〇が6つ書いてますけど、一番左から一番右側まで青と黄色の差がどんどんどん変わっていてます。青いところが他人がお世話をしてくれる家に住む、他人がお世話してくれる食事を買って食べる、つまり買って何々するというのが自分の生活になってる量が増えれば増えるほど他人度が増えるということです。で一方で自分でウラで畑を作って植物を作って料理までして食べるということをやると「自分度」がどんどん増えていく。家も自分で木を切ってきて、建てるまでいかんでも、製材所で手に入れて建てるということになると自分度が増えていく。

自分度が完璧に黄色の全部という生活は今はできないと思うんですけども、ただ1/4ですますとか、1/5ですますとかいうことができることは、今の時代でもあるのではないということになってます。

で、資本主義は実は膨張していくと黄色から青になって、青が増えるということに他なりません。これは、衣でも食でもこれはやってみてほしいと思うんですけど、衣はすごく社会化が、資本主義化が一番早く進んで、なかなか自分で機織りをして自分で着物を作ってというのは、なかなか難しいかもしれませんが、食事はまだまだ自分でやることを増やすことができます。住宅は実は一番やれることちゃうかなと思います。住宅の自分度をどんどん増やしていきましょう、というのがコーポラティブ住宅のおすすめです。

自分が主人公になって家づくりをやって、みんなと協調しながらやっていく、ということが問われる。面白い集団が出来上がる、というのは僕の想いです。

で、あとあと難しい話になるんですけども、機械化とIT化が進む中で、今これから建築、自分の家づくりを、もっともっと自分で考える時代を作りたいなという風に思います。


コーポラティブハウスは、住宅環境の自分度を拡げる手段であると同時に、家づくりや、住まい環境を一から考え、共有スペースをどのように使い、そのためにどのように作るかなど、同じ空間を共有する人たちとの協調や共感を育むことに繋がっている。住まうことを一から考える。住まう環境を一から考える。住まいの自分度の拡がりを実感することで、環境に合う暮らしをさらに考える。自分度が拡げる自由度や幸福感を感じることで、さらに暮らしの中の自分度の拡げ方を考えることに繋がれば、ただただ消費するだけの暮らしを少し変えることができるかもしれない。


自分度を拡げる未来を妄想する講座

UCOでは、NEXT OSAKAを考えるアプローチとして、コーポラティブハウスから、生活環境の自己領域=自分度を拡げた暮らしについて深く考えていく講座を開催します。
3回シリーズで第1回は、「平成長屋MOMO」の見学と、コーディネイトされた伴年昌氏を囲んでのワークショップを行います。
8月28日土曜日の開催は、延期いたします。
日程は改めてお知らせいたします。


 

人新世[ひとしんせい、じんしんせい] wikipediaより
人類が地球の地質や生態系に与えた影響を発端として提案された想定上の地質時代。人新世の特徴は、地球温暖化などの気候変動、大量絶滅による生物多様性の喪失、人工物質の増大、化石燃料の燃焼や核実験による堆積物の変化などがあり、人類の活動が原因とされる。人新世という用語は、科学的な文脈で非公式に使用されており、正式な地質年代とするかについて議論が続いている。人新世の開始年代はさまざまな提案があり、12,000年前の農耕革命を始まりとするものから、1960年代以降という遅い時期を始まりとする意見まで幅がある。人新世の最も若い年代、特に第二次世界大戦後は社会経済や地球環境の変動が劇的に増加しており、この時期はグレート・アクセラレーション(大加速)と呼ばれる。

新着記事・番組

  1. 本渡章の「古地図でたどる大阪の歴史」~「区」150年の歩み 第1回 その2 大正~昭和は人口爆発、増区・分区の4段跳び時代。

  2. 夢洲に集客施設、観光開発は危険

  3. 本渡章の「古地図でたどる大阪の歴史」~「区」150年の歩み 第1回 大坂三郷プラスワン。4つの区の誕生

  4. 暮らしの「自分度」を取り戻す挑戦

  5. ストップ維新!リレートークその3:看護師の現場から

  6. ストップ維新!リレートークその2:元大阪市保健師・亀岡照子さん

  7. 農業のある大阪の未来02:ナカスジファーム

  8. ストップ維新!リレートークその1:淀川料飲協同組合・堀口博信理事長

新着ブログ

  1. 印象操作をする高市陣営。

  2. 祝登録者500名突破。

  3. 60年の時を経て包まれた凱旋門。クリストとジャンヌ=クロードの夢の巨大プロジェクトがパリで実現

  4. そうだったのか維新。

  5. イベントが終わって。