大阪市政

連続学習会第1回 夢洲は土壌ゆるすぎ 大型建物はムリ!

主催
カジノに反対する団体懇談会
取材・協力
UCO

連続学習会
第1回 夢洲は土壌ゆるすぎ 大型建物はムリ!

2025年の関西万博やIRカジノの誘致、開催地として開発が進められている大阪・夢洲。
夢洲は埋め立て地で地盤がゆるく、大型建築物を建てるには膨大な費用がかかります。
しかも、建物だけでなく、観光客を輸送するための地下鉄延伸工事も計画されています。
間に合わせのために早急な埋め立てを行い、地盤の緩いまま建設を進めようとしている大阪府市。
今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされる南海トラフ地震などを考えると、夢洲に大型観光施設や、集客のためのイベントを実施ても大丈夫なのか。夢洲の都市計画やIRカジノ誘致を問題視している「カジノ反対する団体懇談会」が主催する連続学習会を2回にわたって紹介します。

本編ノーカット動画はここをクリック https://youtu.be/QQBuq-lD7D0

講師
出口 保幸さん(地質調査業)
稲森 豊さん(元大阪市議、カジノ問題を考える大阪ネットワーク)

2021年1月20日、大阪市港湾局は、夢洲3区の事業用地(夢洲駅予定地)の土壌調査の結果、調査箇所の一部において土壌汚染対策法等の基準を超過したことを発表しました。これに関連して、翌21日には夢洲地区のボーリングデータが公開されました。
かねてより、夢洲は現在進行形で一般廃棄物や浚渫土砂などの廃棄地として利用されており都市計画としては、工業地としての利用がされてきた。松井市長が口癖のように「使い道のない土地」とか「バブル時代のつけ」とお荷物扱いする夢洲だが、少なくとも2010年以降「国際コンテナ戦略港湾総合特区」の大型コンテナ船の埠頭として位置づけられています。すでに港湾事業者への売却が進められ、港湾拠点として着実に発展しています。
2019年4月、大阪市は、「夢洲の都市計画変更素案」にかかわるパブリックコメントを実施。9月には都市計画審議会が承認することで、準工業地域並びに工業域であった夢洲を商業地域に用途変更。これによって国際観光拠点として、関西万博とIRカジノの本格的な開発が始まりました。

しかし、夢洲は埋め立てが完了していないだけでなく、地盤の緩さや、津波対策も不十分など、集客施設を設置することの危険性を指摘する声は多くあります。
特に、土地の用途変更をする前年の2018年には、最大瞬間風速58.1mを観測した台風21号が大きな被害をもたらしました。特に湾岸では、府庁咲州庁舎の周辺も駐車場の車が横転、夢洲のコンテナヤードでは、5段積みにしたコンテナが飛ばされ、数多くが海に流されました。

1月の港湾局のボーリング調査の発表を受け、かねてより土壌と地盤に関して懸念を持っていた「カジノ反対する団体懇談会」では、専門家を招いて、学習会を実施。
調査方法や専門用語の解説を交えながら、埋め立て地盤に大型施設の建設は安全なのか。また沖縄辺野古のように大規模工事で金額が膨れ上がるのではないか。あるいは、地下鉄の延伸工事は、想定されている予算で収まるのかなど、さまざまな観点からお話を聞くことができました。

以下に要点を抄録します。

「関空の地盤沈下は沈下しないとしている洪積粘土層の沈下によるもの」

洪積層の粘土層は沈下しないと言われてきましたが、関空1期島の地盤沈下状況をみると、関空が沈下し続けているということは、洪積層の粘土層が沈下しているからなのです。関空1期島では、1年間で多いときには50センチも沈下していましたが、沈下のスピードは鈍化し、2019年の時点では、年間6センチまで鈍化しています。ぞれでも沈下は続いています。夢洲のIR用地でもこの現象が出現する可能性は、大いにありうることなのです。
夢洲にもma12の粘土層があります。沖積粘土層の沈下は洪積粘土層よりも激しく、8ページの資料は、2001年(平成13年)に国土交通省が公表した沈下予想量ですが、1995年から2001年に2.1メートル沈下し、翌2002年(平成14年)から2007年(平成19年)には51センチの沈下を予想していました。

「夢洲でも建物は支持層まで杭が入るので、建物の周囲が沈下する現象が見られることでしょう。」

夢州でもう一つ大事な問題が、地下水問題です。柱状図の孔内水位をごらんください。ボーリングした穴(孔)の中の水位を毎日図りますが、日々、変動しています。なぜなら、埋め立て地ですから、地下水といっても海水ですから、干潮・満潮という海水面の変化によって、この地下水の水位は上がったり、下がったりします。もちろん、雨が降ったときも、地下水位は上下します。柱状図からは、3メートルから8メートルの間で、5メートルの幅で地下水位が変動していたと記録されています。地下水が多いところでは、当然、液状化は発生します。

最大の課題は地下水の存在です。海水面を埋め立てているわけですから、べらぼうな水量があるわけですから、そんなに簡単には地下水の浸入を止められるとは思われません。鉄板の矢板を打ったり、さまざまな手段を講じないと、杭ですら打てないことになります。すると、予算がどんどん膨らんでいく。土木屋にとっては、これほど美味しい商売はない。最初に設計価格を決めますが、最初に決めた価格以上の費用がどんどんかさんでくるでしょう。

特に今回は、この104箇所のボーリングデータが出てきました。ボーリングデータは、人間の体でいえば、CTスキャンのデータにあたります。このボーリング調査で夢州の全貌が明らかになったと思います。
吉村知事、松井市長が成長戦略を目玉にして、大阪の経済を立て直すと言っていますが、とんでもない話だと思います。

埋立地全体が揺れ動いた六甲アイランドでは、六甲ライナーの高架が裂断しました。また、地盤が沈下し、護岸が崩壊してしまったのでポートアイランドは孤立してしまいました。大阪の此花区でも伝法付近の護岸が破壊されています。

大阪府の危機管理室が「液状化予測」を公表しています。液状化ではPL値が目安になりますが、PL値が25という「液状化が非常に起こりやすい」土壌だと、大阪府も認めています。ところが、大阪市は「安全だ」という。なんでやねんと、大阪市に聞きましたら、大阪府と大阪市では測定方法が異なるので、大阪市は大阪府とは違った理解をしているのだといいました。

大阪府も、今後50年間で150センチぐらいの沈下を認めています。ところが、最近の研究で洪積層が沈下するという事実が明らかになりましたから、大阪府のこの見解も、当然、修正しなければなりません。

「夢洲埋立事業の地盤改良の実際」

Q&Aにはなんと、施行業者が改良工事の進め方を心配しています。発注書に示された工事だと、圧密が不完全なまま工事を続けるので、エンドレスに沈下が起こってしまいますよと注意を促しているんです。2023年に引き渡すなら、圧密期間が1年しかない。これでは安全な土地を提供できないと施行業者自身が意見を付けているのです。
それへの港湾局の回答が、「施行業者には責任が及ばない措置をとる」とし、地盤沈下を港湾局が容認していることがうかがえます。
地下鉄建設が最大のネックになると思います。東京外郭環状道路建設工事では大深度のシールド工法で地面が陥没して大変なことになっています。「大深度なら地上に影響はない」はずでした。

もうすでに関空の燃料タンクは海抜ゼロ・メートルになっています。滑走路の下には水を抜くためのパイプを通していますが、地盤の不等沈下で排水パイプが壊れてしまっていた。そこで、「地上から地下の排水パイプの破損状況を把握できる技術はありませんか」と技術を募集しているありさまです。
関空のこうした実例をみると、地下鉄を建設したところでは地盤の不等沈下で地下鉄のトンネルに異常が生じる、そんな事態も予想されます。

以上講演記録より

大阪の成長戦略の経済対策として、2020年12月に大阪府市で発表した「大阪の再生・成長に向けた新戦略 具体的な取組み集」には、他の経済対策に比べるとかなり多くを割いて「国内外の観光需要の取り込みの強化」が4ページにわたって展開されています。
この分野は、夢洲の開発が前提となっています。大阪府市はコロナ後についても一貫してインバウンドによる成長を説いていますが、果たしてパラダイムシフトが言われるコロナ後の世界で、インバウンドというコンセプトが正しいか、という面もある一方、この夢洲に大規模集客施設をつくること自体、危機管理の視点から「大丈夫なのか」と言わざるを得ません。

国内外の観光需要の取り込みの強化では、次の4つを柱としています。
1. 安全・安心な受入環境の整備
2. 国内旅行需要喚起やインバウンド再生に向けた魅力発信・プロモーション
3. 府内各地域の魅力創出
4. コロナ禍におけるMICE開催支援及び開催可能な国際会議等の誘致推進
5. IRの推進

「安全・安心な受入環境の整備」が目的としているのは「万博開催に向けた受入環境整備の強化」です。
「国内旅行需要喚起やインバウンド再生に向けた魅力発信・プロモーション」が見据えているのも「万博開催に向けた魅力発信・プロモーションの強化」としています。
「府内各地域の魅力創出」でも最初に上げているのが、「万博・IRのインパクトを活用したベイエリアの活性化」であり、「ベイエリアやうめきた2期など新たな集客拠点の形成」です。
「コロナ禍におけるMICE開催支援及び開催可能な国際会議等の誘致推進」や「IRの推進」は、いずれもIRカジノを中心とした、夢洲で「大阪・関西の持続的な経済成長のエンジンとなる世界最高水準の成長型IRを実現し、大阪のさらなる成長につなげていく」ことです。

いずれも、夢洲に大規模集客施設を設置し、そこに国内外からの観光客を呼び込み、会議やエンターテインメントを行い、宿泊してもらうというものです。
しかし、東日本大震災以降、ベイエリア、湾岸地帯の活用方法については、考え方を変える方向で様々な政策が進められています。その間大阪府市は、一貫してベイエリアで観光開発にこだわり、国際コンテナ基地とする計画を反故にし、工業地域を商業地域に用途変更を行い、観光客を呼び込む政策を推し進めてきました。
湾岸の防災についても十分な議論なしに安全だと言い張るだけで、何ら対策を行ってきたわけではありません。開発には多額の税金を投入する一方で、防災や防疫、コロナ対策などには大した資金投与が行われてはいません。
今回の学習会を振り返れば、今後開発を進めれば、今以上の税金をつぎ込むことは明白です。一方で観光客の安全性、避難措置などの計画がなされているわけではありません。大阪が世界的な観光都市を目指すとして、夢洲がそれに相応しい安全で安心して過ごせる土地ではないことは明らかです。大阪府市は夢洲を含む湾岸エリアのの安全性や防災について真剣に取り組むべきではないでしょうか。


第1回 夢洲は土壌ゆるすぎ 大型建物はムリ!
4月10日(土) 14:00~16:00
お話  出口 保幸さん(地質調査業)
稲森 豊さん(カジノ問題を考える大阪ネットワーク)
全編ノーカット版 https://youtu.be/QQBuq-lD7D0
第2回 大阪市財政の現状と課題
4月17日(土) 14:00~16:00
お話  木村 収さん(元大阪市立大学・阪南大学教授)

主催:カジノ反対する団体懇談会
協力:ユーシーオオサカ(大阪コミュニティ通信社)

<当日の資料>

当日の配布資料については、下記にお問い合わせください。
カジノ反対する団体懇談会
薮田
yabuta50@yahoo.co.jp

<行政資料>
夢洲まちづくり関連行政資料ページへ

 

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