大阪市政

口は出すな!カネとヒトを出せという恐喝強盗まがいの新組織「大阪都市計画局」

話し手
川嶋広稔市会議員
取材・編集
UCO

大阪府によるボッタクリを証明する「広域一元化条例」検証第2弾

口は出すな!カネとヒトを出せ!という恐喝強盗まがいの新組織「大阪都市計画局」

脱法行為で生まれる「大阪都市計画局」が大阪市の草刈り場となる

5月の市議会、6月の府議会において、それぞれ広域一元化条例に関連する規約が可決されました。大阪市の成長戦略とまちづくりに関する都市計画を大阪府に事務委託するという「広域一元が条例」。しかしその実態は、今回可決された規約を見てみると、強引な解釈と脱法ともいえる条項でまとめられてます。今回定められた条例によって、今後どのようなことが行われるのか。また、市民にとってどのような影響があるのか。これまで広域一元化条例に関して議案を読み込み、sns等で発信を続けている川嶋広稔議員にお聞きしました。

地方自治体の間で行われる事務委託について
事務の委託とは、消防や水道、公園管理、港湾管理など地方公共団体が行う事務(業務)の一部を他の地方公共団体に委託して、その機関(長または同種の委員会等)に管理執行させることができる制度を指します。委託を受けた地方公共団体の機関は、受託した事務を自己固有の事務と同様に管理し執行します。
これは、地方自治法第252条の14に記載されており、通常、単独で行うだけの能力がないとった小さな自治体が、隣接する自治体や都道府県に委託が行われます。
今回大阪市から大阪府に委託される事務は「大阪市の成長戦略」と「都市計画」で、大阪府にはこの事務に関する人材、ノウハウ等はないのですが、事務委託するという前代未聞のことなのです。

 

第2回副首都 推進 本部(大阪府市)会議資料より

Q:「都市計画」を担当する新しい部署はどんな組織ですか?

A:(川嶋市議)地方自治法に基づいて事務の委託をします、というときは、自分にはその力がないんです、自分ところの部局や職員だけではできないんです、ということで力があるところにお願いします、ということでお願いするわけです。

今回、大規模な都市計画決定権を事務委託をしましたが、その先が大阪府です。大阪府にはその力がないということで、大阪市の職員が大阪府に行くことになるのではないか、と指摘していました。結果的に「組織を一緒に作ります。組織を一緒に作るので 、大阪府の職員がその中で請けるから大丈夫です。」という理屈になっているんですね。しかし、都市計画決定の窓口以外にも大阪市からうめきたの開発の部署もいく、そのほかりんくうタウンなど大阪市以外の部署も来るわけです。

都市計画決定権を大阪市から大阪府に移した仕事と、もともとの市の仕事と、もともとの府の仕事、この3つの仕事をごちゃごちゃにして1つの組織を作りましょう、というのがこの規約です。(議案第132号 大阪都市計画局共同設置規約案)
市では、こういう部局を一緒に作っても問題ない、という認識でいるわけですが、本来「事務委託」というのは、できない自治体ができる自治体に委託するわけです。この組織をつくることによって事務委託をする先に大阪市の職員を配置することができるようになる。これは脱法行為。市では「これは人事交流なので出来ます」という理屈です。
私から見ると、無茶苦茶な理屈を成り立たせるために、無茶苦茶な組織を作ったというのが実情です。

この部局を作ることよって、ワンストップ窓口を作ります、連絡調整の窓口を作ります。うめきた以外にも夢洲などのまちづくりの調整部門も作ります、だから全部出来ます、と言うんですが、本質は、事務委託した先が仕事ができる力がないから、そこに大阪市の職員を入れるための理屈を作った、ということだと思います。

Q:「大阪都市計画局」はどこの所属ですか?

A:(川嶋市議)この部局は大阪府の設置になります。大阪市との共同設置なんですが、人件費は府で払うことになるので、その分は大阪市が負担する、ということは答弁でもらっています。

今回の議案の中で、同じように万博推進室が設置される話がありました。これはいいんです。なぜいいかというと万博の場合、期間限定じゃないですか。期間限定で終わったら解散ね、というのであれば理屈はわかります。この「大阪都市計画局」って半永久的に続くわけです。だから疑問に思うわけで、感覚的にはおかしな組織作っている、という状況。全く理屈がわからない作り方になっています。

半永久的になった時に、人事評価ってどうするの?というのが必ず出てくるんですよ。異動だけじゃなくて、昇進などどちらの上司が見てるのかとか、評価してるのか。副首都推進局などの場合も、半々にして交互に役職つけているから問題ないというんですけど、そうまでして半永久的な組織を作るんなら最初から元に戻して分けておけ、となる。組織的にもおかしな話になる。

Q:場当たり的な組織のように見えますが

A:(川嶋市議)彼ら(松井市長、おおさか維新の会)が言っている統治機構改革というのは、けっこう無駄を作るし、手間のかかる話だった。今回この「大阪都市計画局」を作るときに、副首都推進局とあわせてみると、結局やってることって無茶苦茶やん、ということがわかるわけです。

普通にサラリーマンやってる人なら、いまの話聞いたら「おかしな組織よね」って気づくはずです。そんな組織作ってまで、えっ、それが統治機構改革なん? そんなんやったらする必要ないやん、って普通のサラリーマン的感覚なら気づくと思います。

もともとの条例(3月可決の広域一元化条例)がありました。事務委託(5月可決の第128号議案、第129号議案条例)の規約がありました。組織作る規約(5月可決の第131号議案、第132号議案条例)があります、といった時に、これが全部一つの論理的に同じ目的とか同じ趣旨でつながってるのかというと、つながってるようには見えるけど、全部それぞれに政治的思惑が入っていて、それぞれ都合のいいようにできるようになっている。これが実はみんな騙されてるところやなと思います。場当たり的な組織の作り方やと思います。

「口は出しません、カネは出します」条例を大阪市議会が可決した異常性

今回決められた規約のうち、第128号議案では、「大阪の成長及び発展に関する基本的な方針に関する事務の委託に関する規約案」が定められています。ここでいう「成長戦略」とは次の4項目が挙げられています。

(1)大阪の成長戦略
(2)大阪の再生・成長に向けた新戦略
(3)万博のインパクトを活かした大阪の将来に向けたビジョン
(4)前3号に掲げるもののほか、大阪の成長及び発展に関する基本的な方針であって、大阪市が大阪府に策定を委託する必要があるもの

そして、規約内では、事務を委託する担当部局として「大阪府政策企画部」が明記され、委託事務の管理及び執行に要する経費は大阪市の負担とすることまで記載されている。

都市計画の柱でもある成長戦略を計画する権限を放棄し、大阪府が決める成長戦略について、何の文句も言わず、粛々とカネを差し出す。こんな屈辱的自治の放棄を大阪市議会で可決したことは、異常でしかありません。

Q:事務の委託先が「大阪府政策企画部」となっています

A:(川嶋市議)この事務を委託する先がどこなんですか、といった時に「大阪府政策企画部」がその委託先になります、と書かれています。本来、事務委託をするとこの権限がなくなりますので、これも非常に大きな問題だなと思っています。バクっと大阪の成長戦略と書かれていますが、例えば経済的な問題で政策を大阪府が掲げた時に、「大阪市の中小企業のことを考えたら、こういう方向ではなく、違う方向だろう」ということを大阪市が考えたりすることができなくなります。簡単に言えば、それ(大阪府の政策案)に基づいて施策をやらなければならなくなってきます。

他の市町村、東大阪市であったり、八尾市、豊中市、吹田市は、それぞれのまちの成長戦略はどうあるべきかを考えるときに、当然中小企業も含めた幅広い、一つ一つの会社に目を向けながら考えていくことができます。

しかしこれから大阪市は、府が考えた中でやっていかなければならなくなる。成長戦略、成長戦略と言いますが、本来の中小企業のあり方というのは、これだけではカバーできないと思っています。委託をしたことによって、他の市町村では 持っている自分たちが行使できる権限を渡してしまったことで、経済にとって、特に中小企業にとって厳しい状況になりえると思います。

Q:予算は大阪府が決めて、お金は大阪市が出しなさい、ということですか?

基本的にはこの条例でもそうですが、大阪市が委託をして、大阪府が計画を書いて、お互いがこうしましょうとなったら、予算については大阪市としては応分の負担ということになります。しかし本来予算についても、自分のところで考えて、自己決定、自己責任という地方自治の原則で考えれば、大阪府で計画を決めて、予算も決めて、自己決定できないけど、責任だけ持たされるということになりかねないと思っています。

委託というのは、自治体としては、自分のところではどうしてもできないから委託するんだという話なんです。できるものを渡すというのは、自治というものを考えた時に大きなリスクを負うなぁ、と。

いま「自治」という話を市民の皆さんとしてもなかなか理解されないんです。自分たちのまちのことは、自分たちで決めるという自己決定、やったことの責任、これも自治として受けなければならないというのが基本。これがなかなか伝わらない。「ええやん、府市一緒になったら効率化されるやん」って。効率化とか合理化の理屈ばかりで話が進んでいって、本来の自治というものがなかなか理解されていない、軽視されている可能性があります。ここは銭勘定ではなくて、これからの地方自治とか民主主義を考えた時に、課題が大きく広がっていくと考えています。

Q:メリット・デメリットはどのようなものなのでしょうか?

A:(川嶋市議)メリット、どう考えてもないんです。
いま政令指定都市として権限を持ってやっていて、また府もやっていて、それを無理やり事務委託ということをして、ほんとうにいま以上のメリットが出るのか、といった時、よう頑張ってもいまのレベルにはいかないと思うので、メリットはわからないですね。

デメリットで行くと、自己決定、自己責任の問題で、むかし橋下さんが国の直轄事業の地方負担に対してボッタクリバーという表現を使ったことがあるけれども、それと同じになる可能性がある。そうなったときに我々がそれを止められるのかという問題も出てきます。今後デメリットがいろいろ出てくる中で、そのデメリットわを回避する方法があるのかどうかというと、そこのリスクを考えると、さらなるデメリットがあるなと思っています。

現実に費用負担、都市計画の規約も含めて、じゃ、費用負担これでやりましょうねと決められて、でも社会情勢が大きく変わって「計画やっぱり見直さなあかんよね」となった時にその権限を大阪市が持っていないので、大阪府に「その計画見直してください」てお願いせなあかんわけです。いままでやったら、そんなこと自分で決めて、自分で計画直して、それからの投資をバッと切るとか抑えるということが可能なわけやったです。今後請求書だけ来るという状況になったら、市民にとって、大阪市の自治にとってどうなんですか、と真剣に考えてもらいたいなと思います。

自治といった時にその自治のエリアはどこかを考えておかなければならない。そのお金はだれが負担しているのかを考えておかなければならない。大阪市は大阪の市民税で運営している。府と一緒にするということは、「市民は府民だ」って維新は言うんですけど、あれにみんなけっこう騙されてて、市民は府民だっていうけれども、我々府民やから府税払ってるやんか、と。府という自治体の中で、府税払ってる我々としては、当然そのことを責任持ってやってくださいよ、と。ここの大阪府の世界と大阪市の自己決定、自己責任の話がごちゃごちゃにされて、決定はなくなって、責任だけ取らされる状況に、この府市一元化でなろうとしていることは、けっこうみんな気づいていなくて。市民は府民だ、という言葉に騙されて。

だから自治ってわからへんていうけど、だれがお金持ってるんですか、だれが責任取るんですか、そのエリアはどこですか、ということを考えたら、ほんとうはわかる話やのにな、と。

インタビューを終えて 広域一元化の実態は、地方自治の自殺行為

広域一元化条例に続く、規約について詳しく検討していくことで、これらで作り出される一連の状況が、単なる行政機構の移管や予算の収奪に留まらず、本来の権利として持っている自治権を放棄し、責任だけを負わされる、不幸せな条例であることかわかります。と同時に、この状況を解消するためには、大阪市、大阪府両議会で規約の廃棄を決議しなければならないこと、新しく設置される「大阪都市計画局」が半永久的に続くいびつな機関であることがわかります。

民主主義の中でも特に重要な自治、住民自治を放棄する一方で、大阪市税の大きな部分が大阪府に自由に使われてしまい、しかも最終的な責任さえ追わなければならないという状態は、地方自治としてあってはならないことです。絶対に手放してはならない自治権をあえて差し出す条例に賛成票を投じた議員は、市民に対する背信行為を働いたといえるでしょう。

大阪都市計画局の設置に向けた主なスケジュール

新しく設置される「大阪都市計画局」は、9月の市議会、10月の府議会でそれぞれ予算を経て、11月1日に設置される予定です。事務委託の施行日は、大阪都市計画局設置の日と予定されています。私たちを含め、市民は今後の議会を中止するとともに、さまざまな局面でこの背信そのものである広域一元化によって奪われる自治権を取り戻すよう、強く訴えていく必要があります。

第2回副首都 推進 本部(大阪府市)会議資料より

 

[資料]

議案第131号 大阪市事務分掌 条例 の一部を改正する 条例案

議案第132号 大阪都市計画局共同設置規約案