論考

大阪市立小中オンライン授業のゴタゴタ。

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UsaGucci

緊急企画

4月19日松井市長によるオンライン変則授業はデタラメな思いつきの側面が強く現場は大混乱しました。一番の被害者は小中学生とその保護者の方々、そして現場の先生方でした。一連の流れをおさえた資料をUCOのUsagucciがFacebookのいろいろな方々の情報も元にまとめました。記事のシェアをさせていただいた皆様ありがとうございました。

ことの発端

ことの発端は、2021年4月19日記者会見で松井市長が、市教委と何の協議もせず、また何の権限もないにもかかわらず、「緊急事態宣言が発令された場合、大阪市立の小学校と中学校を原則オンライン授業に切り替える」意向を示したことに始まります。マスコミはこの内容について「裏付けを取らないまま」一斉に報じたため、寝耳に水の学校現場は混乱と不安に陥りました。

大阪市教委の奇妙な方針

その3日後、4月22日大阪市教育委員会が小中学校に通知した方針は何とも奇妙なものでした。

1)小学校は、2限目までオンラインやプリントで自宅学習を行う。
2)登校後4限目のみ教室での「指導」、給食を食べたあと帰宅させる。
3)中学校は、午前中は自宅でオンラインやプリント学習し、
4)登校して給食を食べたあと、教室での「指導」を行う

というものでした。

大阪府内の他の小中学校は、「通常通り授業を行うこと」が通知されているのに、大阪市の小中学校だけが「通常授業」ができないことになったわけです。

不思議なのは、なぜここで市教委事務局が、命令権限のない松井市長の思いつきのオンライン授業を追従する形で、大阪府とは異なる方針を発表したのかということです。

→私みたいな素人目でみても、午前中1/2時間目がオンラインで3時間目の間に登校して4時間目だけ授業を受けて、給食食べたら帰るってそんなバカな登校がまかり通るのかと感じました。

現場は大混乱

そして4月25日緊急事態宣言が発出され、翌26日から、この奇妙な方針を実行することが求められた大阪市の小中学校では大混乱が起こります。

一部ですが生の声を紹介します。

ある中学生は、

「緊急事態やのに給食を食べる意味がわからん。不正会食?じゃないのか」

「去年の分散登校でいいんじゃないのか」と。

保護者からは、

「オンラインも、通信テストして以来全く進んでいません」

「保護者、子どもでさえも中途半端な事してるなーってわかってるのに、上の人達は何故それがわからないの?」

「大阪市だけこのスタイル…この大阪スタイル、他の自治体からバカにされてることに気がつかないの?」

「小学4年生男子の保護者です。オンラインテストではログインすら出来ていない子がたくさんいたように思います。すぐにログイン出来た子は持て余し、ログイン出来ない子は苦戦してるのか諦めモードなのか、とても授業が成り立つには程遠い感じでした」

そして教員からは、

「3時間目から登校して給食を食べて5時間目までの3時間授業です。国語や算数などの授業をしていても時数計算は全て特別活動の時数で計算せよと、わけのわからん指示が教育委員会から出されました」

「うちで(タブレットが)配布されたのは今年の4月で、子どもたちは、ほとんど触れることなく、緊急事態宣言に入りました。低学年の子どもは、IDとパスワードの入力だけで、たくさんの時間がかかり、操作どころではありませんでした」

「オンライン授業用ソフトの接続テスト、ネット環境がない生徒への対応、予備の接続テストなどに追われ、教育に充てる時間がない。学校がお客様サポートセンターのようになり、明らかに教員の業務の枠を越えている。もちろん、去年から準備はしていたが、それでもこの状況」

つまり、大阪市の小中学校ではハード面でもソフト面でも「オンライン授業」の基盤は整っていないにもかかわらず、その実施が求められたわけです。小中学校の中には、子どもの現状や保護者の希望から、子どもの登校を朝から受け入れるところも出てきました。

→まだ全然準備できていないのにオンライン授業を始めさせたわけですよね。トライアンドエラー以前の話であった状態なのに松井市長の思いつきで号令、それを市教委が現場の対応丸投げでスタートしたということです。

教育委員会会議で出た驚くべき内容

5月11日開催の大阪市教育委員会では、事務局の報告に約40分の質疑応答が行われました。委員から、

「4月中教育委員会議が開かれなかったため、大阪市の方針(オンライン授業や給食)をテレビニュースで初めて知った」とのこと。

またこの会議で、文科省の見解では「オンライン授業は、授業時数としてはカウントできない」という驚愕の事実も発覚します。

→全くでまかせな松井市長の話を形にした市教委は「オンライン授業は授業時数としてはカウントできない」ことを知っていたと思うんですよね。しかし形だけのオンライン授業を止めることはできなかった。いや、しなかったということではないのでしょうか。

知らなかった松井市長

5月13日松井市長は記者からの質問に「なんのためにオンライン授業をしてきたか、授業時数としてカウントされないのはおかしい。今日にでも萩生田文科相に電話する」と回答しましたが、文科省が、現時点で教員の立ち会いのないオンライン授業を「授業」として認めるとは思えません。このニュースに学校現場はますます疲弊していきます。

→ここまで来て、松井市長は「市教委に相談もせずに悪かった」とか、市教委も「再度、松井市長に確認事項として正せばよかった」という、ごくごく初動でのミスが発覚したわけです。そしてまさかのオンライン授業が全く授業時数にカウントされないという事実について、混乱させて申し訳なかったと謝罪するのが筋だというものでしょう。

現職校長の提言

その最中に大阪市立木川南小学校校長が、松井市長に「提言」を出したことがわかりました。大阪の学校現場で長年携わってこられた方ならではの視点から、やむに止まれず書かれたことが伝わってきました。翌18日には共同通信がこのニュースを取り上げ、ヤフーニュースでも掲載され多くの人が知ることになりました。

原文をここに掲示します。

大阪市長 松井一郎 様

大阪市教育行政への提言

豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために子どもたちが豊かな未来を幸せに生きていくために、公教育はどうあるべきか真剣に考える時が来ている。

学校は、グローバル経済を支える人材という「商品」を作り出す工場と化している。そこでは、子どもたちは、テストの点によって選別される「競争」に晒される。そして、教職員は、子どもの成長にかかわる教育の本質に根ざした働きができず、喜びのない何のためかわからないような仕事に追われ、疲弊していく。さらには、やりがいや使命感を奪われ働くことへの意欲さえ失いつつある。

今、価値の転換を図らなければ、教育の世界に未来はないのではないかとの思いが胸をよぎる。持続可能な学校にするために、本当に大切なことだけを行う必要がある。特別な事業は要らない。学校の規模や状況に応じて均等に予算と人を分配すればよい。特別なことをやめれば、評価のための評価や、効果検証のための報告書やアンケートも必要なくなるはずだ。全国学力・学習状況調査も学力経年調査もその結果を分析した膨大な資料も要らない。それぞれの子どもたちが自ら「学び」に向かうためにどのような支援をすればいいかは、毎日、一緒に学習していればわかる話である。

現在の「運営に関する計画」も、学校協議会も手続き的なことに時間と労力がかかるばかりで、学校教育をよりよくしていくために、大きな効果をもたらすものではない。地域や保護者と共に教育を進めていくもっとよりよい形があるはずだ。目標管理シートによる人事評価制度も、教職員のやる気を喚起し、教育を活性化するものとしては機能していない。また、コロナ禍により前倒しになったGIGAスクール構想に伴う一人一台端末の配備についても、通信環境の整備等十分に練られることないまま場当たり的な計画で進められており、学校現場では今後の進展に危惧していた。3回目の緊急事態宣言発出に伴って、大阪市長が全小中学校でオンライン授業を行うとしたことを発端に、そのお粗末な状況が露呈したわけだが、その結果、学校現場は混乱を極め、何より保護者や児童生徒に大きな負担がかかっている。

結局、子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出していることに、胸をかきむしられる思いである。つまり、本当に子どもの幸せな成長を願って、子どもの人権を尊重し「最善の利益」を考えた社会ではないことが、コロナ禍になってはっきりと可視化されてきたと言えるのではないだろうか。
社会の課題のしわ寄せが、どんどん子どもや学校に襲いかかっている。虐待も不登校もいじめも増えるばかりである。10代の自殺も増えており、コロナ禍の現在、中高生の女子の自殺は急増している。これほどまでに、子どもたちを生き辛くさせているものは、何であるのか。私たち大人は、そのことに真剣に向き合わなければならない。

グローバル化により激変する予測困難な社会を生き抜く力をつけなければならないと言うがそんな社会自体が間違っているのではないのか。過度な競争を強いて、競争に打ち勝った者だけが「がんばった人間」として評価される、そんな理不尽な社会であっていいのか。誰もが幸せに生きる権利を持っており、社会は自由で公正・公平でなければならないはずだ。

「生き抜く」世の中ではなく、「生き合う」世の中でなくてはならない。そうでなければこのコロナ禍にも、地球温暖化にも対応することができないにちがいない。世界の人々が連帯して、この地球規模の危機を乗り越えるために必要な力は、学力経年調査の平均点を1点あげることとは無関係である。全市共通目標が、いかに虚しく、わたしたちの教育への情熱を萎えさせるものか、想像していただきたい。子どもたちと一緒に学んだり、遊んだりする時間を楽しみたい。子どもたちに直接かかわる仕事がしたいのだ。子どもたちに働きかけた結果は、数値による効果検証などではなく子どもの反応として、直接肌で感じたいのだ。1点・2点を追い求めるのではなく、子どもたちの5年先、10年先を見据えて、今という時間を共に過ごしたいのだ。

テストの点数というエビデンスはそれほど正しいものなのか。あらゆるものを数値化して評価することで、人と人との信頼や信用をズタズタにし、温かなつながりを奪っただけではないのか。間違いなく、教職員、学校は疲弊しているし、教育の質は低下している。誰もそんなことを望んではいないはずだ。誰もが一生懸命働き、人の役に立って、幸せな人生を送りたいと願っている。その当たり前の願いを育み、自己実現できるよう支援していくのが学校でなければならない。「競争」ではなく「協働」の社会でなければ、持続可能な社会にはならない。

コロナ禍の今、本当に子どもたちの安心・安全と学びをどのように保障していくかは、難しい問題である。オンライン学習などICT機器を使った学習も教育の手段としては有効なものであるだろう。しかし、それが子どもの「いのち」(人権)に光が当たっていなければ、結局は子どもたちをさらに追い詰め、苦しめることになるのではないだろうか。今回のオンライン授業に関する現場の混乱は、大人の都合による勝手な判断によるものである。根本的な教育の在り方、いや政治や社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を見出したいと切に願うものである。これは、子どもの問題ではなく、まさしく大人の問題であり、政治的権力を持つ立場にある人にはその大きな責任が課せられているのではないだろうか。

令和3(2021)年5月17日

大阪市立木川南小学校 校 長 (氏名略)

→普通に読む限り、現場の混乱している声を、一校長先生が市長に伝えている内容であり、市長及び市教委は真摯に受け止めるべき内容だと思われました。しかし、松井市長は違っていたわけです。

弾圧のはじまり

まず5月19日大阪市教育委員会は同校長を呼び出し事情聴取を行いました。それがわかったのは、5月20日大阪市会教育こども委員会で、大阪維新の会杉村幸太郎委員がこの件について質問したことによります。事務局は、事実関係の調査中であると断りながらも、大阪市職員基本条例4条、地方公務員法33条を持ち出し、一般論として懲戒処分の可能性もあると示唆しました。(市議会を使った恫喝に近い状態ですね・・・)

→ここまでのいきさつから考えて、松井市長の雨合羽にも通じる一連のオンライン授業の思いつき発言にマスコミが裏付けも取らず配信。市教委がそれに追従ということですから、松井市長、市教委、そして何よりマスコミに原因があるのは明らかですが、それを大阪市会教育子供委員会で市議が懲戒処分の可能性について質問するという異常事態。さらに、この状態を炎上元である在阪マスコミが流せないという状態となったわけです。このニュースを最初に流したのは、共同通信や東スポであり、在阪マスコミはなかなか取り上げられませんでした。

弾圧は許さないーー支援の声広がる

提言した校長に「処分」?!それは絶対に許せないという声が次第に広がり大きくなっていき、同校長とともに教育を担われてきた方からは、携帯ショートメールによる「提言」賛同署名も始まっていました。

→この件、一事が万事なのです。市長の方針をバックアップするのが行政の役割ですが、その方針が間違っていても残念なくらい正されることなく実行されていきます。また、松井市長は先にマスコミに流すことで情報としての既成事実を作ってしまい、それに反対すると既得権益を破壊するような反逆者扱いをすることが日常化しています。
そういう意味でマスコミ、特に在阪マスコミは共犯者になっているわけであり、またそのマスコミのコントロールを維新首長は得意としています。

松井市長の反論

5月20日記者会見で、松井市長は自らの教育観を述べ、提言した校長について

「社会人として外に出たことがあるのか」

「ルールに従えないなら、組織を出るべきだと思う」

と公然と批判しました。

→本来であれば、松井市長が大阪市内の小中学校でオンライン授業をさせようという意志があったのであれば、「まず市教委と早急に臨時総合教育会議の開催を要請し、そのための条件整備のために臨時予算を組むこと」ではないかと思われます。

朝日新聞、大きく報道

5月21日朝日新聞朝刊は、この件を大きく取り上げました。また「提言」全文も掲載しました。全国から同校長の提言に賛同し、支援の声が集まっています。

→ようやくといった感じですが。

萩生田文部科学大臣も発言

ついには、萩生田文科相も、21日の閣議後会見で、この件について聞かれ、「(校長から)不具合があったという報告であれば、耳を傾けて改善したらどうか」と市側に促すことになりました。

→萩生田文科相のコメントは至極真っ当なものでしたが、そもそも「首長主導の教育改革」ができるように、「総合教育会議」設置とか、首長が任命する「新・教育長」を教育委員会の責任者とするような諸改革をしてきたのは文科省であり自公政権です。そのしくみを作ったことを棚に上げて、松井市長に苦言を呈するのも片腹痛い話です。

賛同・支援の声大きく広がる

大阪ではこの校長の「提言」に賛同し、大阪市立中学校校長が自らのFacebook(公開設定)で、賛同者の声を松井市長に届けると呼びかけておられます。すでにTwitterにおいて「#木川南小学校校長を支持します」は2万件を超えています。

まとめ

これはフィクションでもなければ、他山の石でもありません。今、2021年4月5月に実際に、大阪維新の会の松井市長が思いつきで発言した「オンライン授業」を裏付けも取らずに流したマスコミ、そしてそれに追従した市教委が巻き起こした現実です。市長を頂点とするピラミッドの上意下達組織が、ミスを知りつつ拡大していった結果が、素人目にもわかる大混乱を巻き起こしたわけです。

そこに敢然と立ち向かった今回の校長の提言は、一教育界の話でありながら非常に本質的な意味を持ちます。
この事実は、オンライン授業だけではありません。

都構想から始まり、大阪市の権限を奪う広域一元化、
インバウンドが来ないかもしれない中でのIRカジノ、万博、
生野区に代表される住民同意のない公立小中学校の統廃合、
大阪市立高校の大阪府への無償移管
大学1-2年生しか使えない大阪公立大学森ノ宮キャンパス等等、

皆さんの記憶に新しい、「雨合羽」、「イソジン」、「大阪ワクチン」などはその最たる例であり、これらの多くは、思いつきからの、裏付けがない、甘い、大阪市事業なのです。

大阪府議会、市議会は、維新公明で過半数を確保しており、大阪府知事、市長に対する自浄作用は全く見込めません。今、大阪府市を守るには、私たち府市民の声が不可欠なのです。

その一歩、第1回として、この記事をここに記録しておくものです。(文責:UsaGucci)

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