夢洲の地盤の圧密沈下問題

住民監査請求の論点の一つである夢洲の地盤について、よくわからなかったので、田結庄先生の論文をじっくり読んで、
「圧密沈下による地盤沈下」について、レポートされていたものの山田先生の許可を得てアップしています。


夢洲の圧密沈下による地盤沈下

写真は田結庄良昭・神戸大学名誉教授の「夢洲開発のリスク―南海トラフ巨大地震と粘土層の圧密沈下」(『市政研究』208、2020 年)から。大阪 IR カジノの住民監査請求の重要な論点の一つが、夢洲の土壌汚染や液状化、地盤沈下である。夢洲開発のリスク、圧密沈下による地盤沈下について、田結庄先生の論稿を抜粋して紹介したい。

万博・IR 会場建設にむけて大阪湾の夢洲が開発されているが、夢洲には南海トラフ巨大地震と地下の粘土層の圧密沈下の二つの大きなリスクがある。南海トラフ巨大地震では、津波浸水・大規模な液状化・長時間で強い地震動・長周期地震動・対岸からの油類流出による火災などが想定される。
また地下の粘土層では、夢洲の地下には軟弱な沖積粘土層や洪積粘土層が分布し、その上に厚く埋土をすると大きな荷重がかかり、粘土鉱物から間隙水が排水され縮む圧密沈下が生じ、 地盤の沈下が生じる。粘土はとても軟弱で含水率も高く、厚い埋立土砂を載せると荷重のため粘土鉱物中の間隙水が排水されることによって、粘土構造が扁平化され縮むため圧密沈下を起こす。
沈下した粘土層は元には戻らない。この上に建物を建てる場合、軽いものしか建てられない。大阪市の「大阪港埋立事業」では、埋立層の圧密沈下を問題にしているが、埋立層の圧密沈下よりさらにその下にある沖積粘土層や洪積粘土層の圧密沈下が大きな問
題。沖積粘土層は、埋立層すぐ下位に位置し、上の締まり具合や強度を示す標準貫入試験値のN値が2〜5 と(10 以下が軟弱)田圃のような軟弱な層で、埋土層の重さで粘土鉱物の間隙水が排水され圧密沈下する。沖積粘土層は層厚が20m 以上と厚く、想定以上の沈下が危惧される。事前に沖積粘土層を圧密促進させるサンドドレーン工法が考えられているが、この工法を行った関西国際空港でも想定以上の沈下が起こった。
沖積粘土層の下位には古い洪積粘土層(Ma12)が分布し層厚が 10m を超えており、N 値が 4〜5 程度と軟弱だが、この層の圧密沈下は想定されていなかったからである。
夢洲の万博・IR 事業敷地では、厚密沈下の無対策時には地盤の残留沈下が 50cm 以上となり、地盤の許容残留沈下量を大きく上回る。さらに、埋立層も厚密沈下するので、多くが 50cm を超える残留沈下を有し、計画地盤高を維持できないだろう。この厚密沈
下のため建物と地盤との剥離が生じ、沿岸部では堤防が沈下して本来の役割を果たせない可能性もあり、万博・IR 事業開発での最大の問題といってよいだろう。
厚い埋立層の荷重で地下の沖積粘土層・洪積粘土層の圧密沈下が進行し、地盤の沈下が止まらず建物が傾くなど影響がでるほか、沈下を止めるために莫大な維持コストがかかる。 (2022年5月18日)

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