大阪に欠けたるもの

毎日 14 日夕刊「柳に風」に目がとまった。大阪についての指摘が心に響いたので紹介したい。
大大阪ってご存じだろうか?決して、大阪府と大阪市が一緒になることではない。1925(大正 14)年の市域拡張で、大阪市が日本一の大都市になった時代をいう。御堂筋や地下鉄ばかりでなく、今につながる都市基盤ができた時代だった。
先月、毎日新聞社主催の「蘇る!モダン都市大阪」というイベントで、私にもお呼びがかかって、大大阪について語り合った。その中で橋爪節也・大阪大教授の言う「都市美」と、活動写真弁士の大森くみこさんの「文化」という言葉が印象に残った。橋爪教授は、当時の大阪市内を撮った映画から「近代都市にはそれにふさわしい都市美というものが必要(という認識があった)」と指摘。大森さんは、この時代の活弁を調べる中で「〝文化的〟という言葉がよく出てくるんです。遠回りのようでも文化にもっと力を入れると、一人一人が元気になるんじゃないか」と話された。
都市の発展の背後に文化を希求する空気があったのだ。橋爪教授も「都市をつくる時、役所の人は『文化がなければ世界的な都市とはいえない』と言ったが、今はもうかったらええやん、みたいな感じ」と、今と引き比べて述べた。
正直、私は「大大阪って過去の栄光やろ」と思っていたのだが、お二人の話から、あの時代にあって現在の大阪に欠けているものを教えられた。都市美や文化という思想が今の大阪市(大阪府も同じだ)にあるだろうか。

大大阪のスタートから 100 年となる2025 年に大阪・関西万博があるが、その後には統合型リゾート(IR)。早い話がカジノ。バクチ場だ。そんなもんで、この先の大阪の計が立つものか。
維新政治は、目先の利に走り過ぎている。もっと先を見据えたグランドデザインが必要だろうに。それなのに、読売新聞大阪本社は大阪府と包括連携協定を結んだ。知事は日本維新の会副代表で、大阪は維新の本丸。これは維新と手を結んだのも同じだろう。
MBS は正月の番組で、知事、市長と元代表の 3 人をそろって出演させ、言うことを無批判に放送した。権力を監視し批判するべきメディアが、すり寄ってどないすんねん。
先人に学び、顧みること。その姿勢が今の大阪には決定的に欠けている。
先日寄稿した『ジャーナリスト』2 月号「月間マスコミ評」に、読売大阪本社と大阪府との包括連携協定、MBS 正月番組の政治的公平性についても書いた。同じ趣旨のことを松井宏員・毎日夕刊編集長が指摘していて嬉しくなった。関一市長時代の大大阪から、現在の維新市政を検証したのも示唆に富む。IR「早い話がカジノ。バクチ場だ。そんなもんで、この先の大阪の計が立つものか」という指摘も、まったく同感だ。
(2022 年 2 月 17 日)

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