子どもがいて、地域があって、学校がある

『世界』3 月号の大阪「教育改革」で何が失われたかと題した対談。写真右から久保敬・大阪市立木川南小学校校長、名田正廣・大阪市立港中学校校長、斉加尚代・毎日放送ドキュメンタリー担当ディレクター。対談は斉加さんの司会により、久保校長の「提言」から始まる。
じつは昨年 5 月 23 日レポートで朝日 21 日朝刊掲載の「提言」についての記事を紹介している。
大阪市立小学校の校長が、市の教育行政への「提言書」を松井一郎市長に実名で送った。今回の緊急事態宣言中、市立小中学校の学習を「自宅オンラインが基本」と決めた判断について、「学校現場は混乱を極めた」と訴える内容。全国学力調査や教員評価制度な
どにも触れ、子どもが過度な競争に晒され、教師は疲弊していると訴えた。すぐに「提言書」全文を読んだが、じつに考え抜かれた心に迫る内容であり、多くの人に読んでもらいたいとレポートに書いた。対談の一部だけ紹介したい。

(名田)久保先生の提言に対する 255 人の保護者・教職員・市民の意見を添えた一校長としての意見書を、大阪市教育委員会の助言も得て提出。正式なルートで上げたため公文書として開示対象にもなり、教育長とも直接話をする機会を得ました。

(斉加)久保先生の文書の「グローバル経済を支える人材」という言葉を見た時、2011 年、大阪維新の会が大阪府議会に提出した「教育基本条例」をすぐ思い起こしました。学力テスト結果を学校別に公表し、3 年連続定員割れの府立高校は廃校にすること、新しい
人事評価を導入し、「最低ランク」の教員を免職にすることなども含まれていました。

(久保)テストで比べられることによって、本来ちゃんと学力を付けられるはずの子が自尊感情を低くし、学びに向かっていけていません。

(名田)大阪の教育が変えられてきてからもう 10 年。競争にさらされ続ければ、自分の学校さえよければという思考停止にもなりかねない。その波に飲まれないためにも、久保先生の提言は重要です。

(久保)ルールがあればルールに従うのが当然、といったことが強調されています。でもそのルールは誰が作ったのか、どうやって作ったのか、そういうことを私たちは問わなくなってきた。ルールを守るより、自分たちでルールを作る経験を、小さい頃からし
ていかなくてはいけないのではないでしょうか。

対談を読んでいて、「子どもがいて、地域があって、学校がある」というタイトルが心に響いてくる。それを壊し分断を持ち込んでいるのが、教育現場の「維新の政治」だ。
(2022 年 2 月 16 日)

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