朝日新聞 2016 年 11 月 13 日朝刊から。

あまりに重要なのでweb魚拓しておきたい。

夢洲で万博 困った

写真は朝日新聞 2016 年 11 月 13 日朝刊。大阪湾の人工島「夢洲」が万博会場予定地に選ばれ、「困った」という不安の声を伝えている。夢洲開発と港湾財政を考えるうえで参考になる記事であり、抜粋して紹介する。「埋め立て事業は厳しい財政状態。万博のことを聞くと、不安でビクビクする」。大阪市港湾局の担当者は心配を隠さない。市の特別会計「港営事業会計」のうち、大阪港の埋め立て事業の会計は綱渡りが続いている。10〜20 年前に人工島「咲洲」の埋め立てや博物館「なにわの海の時空館」(13 年閉館)の建設などで大量の企業債を発行し、その償還がピークを迎えているからだ。企業債の残高は 15 年度末で 1390億円。さらに破綻した第三セクター・大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)の損失補償や、14 年度に造成地の評価額を簿価から時価に変更した影響で、積み上がった赤字(累積欠損金)も 1600 億円を超える。
港湾局は今後約 55 年間かけて、土地の売却で年 30〜90 億円ずつ企業債をかえし、累積欠損金も数十年間かけて減らす青写真を描く。だが昨年度の利益は 26 億円にとどまり、土地が高く売れたバブル期にためた貯金(累積資金)を崩してしのいだ。この累積資金は 19 年度にほぼ底をつく。
そんな中で、頼みの綱が夢洲という。人工島の「咲洲」「舞洲」は、すでに大半が物流やスポーツ施設などに使われ、売れる土地は少ない。一方、夢洲の埋め立て完了区域は現時点でまだ 4 割弱(140 ㌶)。市などが造ったコンテナターミナルを使いたいという物流業者は多く、港湾局は 13〜57 年度の夢洲の土地売却収入を 1012 億円と見込む。埋め立て事業の会計から投資する夢洲の総事業費は 1699 億円(一般会計投入分を加えると 3349 億円)。1 千億円の収入があれば会計全体では安定的な黒字を確保できるという。
ところが「万博で状況が悪くなる恐れがある」という。万博や IR の誘致のため、夢洲の南側約 100 ㌶を万博、北側約 70 ㌶を IR の用地にあてることになった。港湾局は15 年度途中から夢洲の土地の売却・貸し出しを停止し、15 年度の売却収入はゼロだ。さらに万博を開催することになれば、夢洲の造成を 30 ㌶分早める追加費用に 50 億円、島を結ぶ橋や道路の拡張には 40 億円かかると見込まれ、港湾局の負担が増す可能性がある。港湾局担当者は「本当は継続的に土地を利用する物流業者が一番ありがたい」と漏らす。
この記事から 5 年近くが経つ。夢洲開発の現状と港湾財政の今を検証していきたい。
(2021 年 9 月 25 日)

http://rigakuken.main.jp/akiraya…/report/pdf/20210925h.pdf

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